つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

裏金無頓着は、安倍派の驕りがあったのかも

 昔、小生がいた企業では、職場単位ごとにいわゆるプール金というのがありました。職場単位で宴会、一泊旅行した際に多めに徴収してその剰余金をプールしたり、定期的に会費を取ったりしたケースも。何を言いたいのかと言えば、こういうプール金というのはある意味職場の円滑な会計処理を図るために必要であること。まあ、正直、何ら公金をくすねているわけではないので、薄暗い部分は何もないのですが、裏金と言えば裏金という言い方が正しいのかも知れません。

 どの組織にも組織内の円滑化を図るためにプール金、裏金はあるでしょう。割り勘で宴会などをする場合、1円レベルの細かいところまで割れないので、このプール金を遣うことがあり、非常に便利です。かつてどこぞの警察署で国庫に納めるべき金を裏金プールしていたこともあったように記憶していますが、それは公的機関の話。少なくともプライベート企業で公金をくすねることはなく、起こしたくとも起こしようがありません。

 今、永田町で問題になっているのは、派閥のパーティーで所属議員がパーティー券を買ってもらい集めた金のノルマ分を派閥に収めた後、余剰分を各議員あるいは秘書が手元に置いて、領収証なしで自由に遣っていたことです。パーティー券の販売というのは、明らかに派閥や議員個々人を支持する団体、企業、個人に行われるもので、厳密に言えば公金をくすねるものではない。という意味で、議員や秘書は余剰分を自分のものにすることに犯罪性どころか、大きな疑問も持っていなかったと思われます。

 団体にしろ企業にしろ、議員に献金する行為は、何らかの便宜供与を期待していることは間違いなく、そこで東京地検は最初、議員の裏金を贈収賄事件として調べたと思います。ただ、贈る側からすれば、献金の目的は少なくとも自分たちが望まない方向での政策を出してほしくないというだけの消極的な意味合いのものが多く、必ずしも自分が望む方向の政策を積極的に推進してほしいということではないでしょう。その点では、贈収賄事件としての立件はしにくいと思います。

 そこで地検も贈収賄事件でなく、議員側が得た金を帳簿に記載していなかったという政治資金規正法でしか立件できないようです。ただ、その額が数千万円になると、単に掲載ミスでは済まされず、2,3年前に自民党薗浦健太郎議員がこの罪で立件され、議員辞職に追い込またように不正の”積極性”を問われ、議員たる公職の立場を失うことさえあり得ます。閣僚を辞めるとか、党のポストを退くという程度では済みません。公民権の停止で、選挙に出られなくなるのです。そこで、多額の裏金を集めていた安倍派幹部の連中は今、戦々恐々としているのでしょう。

 小生が解せないなと思うことは、薗浦議員の一件があったのにもかかわらず、安倍派の幹部議員たちがなぜ相変わらず闇の収入に無頓着だったかという点。もちろん領収証なしに遣える金というのは大変魅力的であり、そういう金を持ちたい誘惑にかられることは分からんでもないのですが、不用心すぎます。愚推するに、安倍派の幹部は、安倍晋三氏亡き後の今でも権力の中枢にいて自分たちが岸田政権を支えている、牛耳っているという驕りがあり、だから我々に地検の捜査など入るわけはないと高を括っていたのかも知れません。

 パーティー券の購入を含めて議員(政党支部)への寄付金については、企業は税務申告の際、その額を免税項目に記載することができます。つまり、その分、企業は収益を減らすことができるので、厳密に言えば、本来払うべき税額を払っていないということになります。一方、議員側はパーティー券収入の余剰分を闇化し、収支報告書に記載しないのであれば、「出」と「入り」のアンバランスが起こる。税体系に大きな影響を与えることでしょう。という視点で見ると、公金を扱い、権力を掌握する国会議員は、やはり襟を正し、金の出入りに細かく神経を使わないといけないと思います。

 上の写真は、久しぶりに見た香港の風景。ビクトリアハーバーでスターフェリーから見た香港島ワンチャイ方面、そしてパンダホテルでのクリスマス装飾品。パンダの表情が殊の外可愛い。