つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

この程度の金で有能な議員を失っていいのか

  近の国内政治関係のニュースで驚かされたのは、自民党薗浦健太郎衆院議員が東京地検から訴追されたこと。それで彼は議員を辞めざるを得なくなりました。これは地検がよくやる一種の政治的取引で、議員に不正があった場合、職を辞したら、強制捜査はしないというバーターです。小生これまで、薗浦氏の講演を何度も聞いていますが、国際情勢に詳しく、慧眼を持ち、これから彼のような「憂国の士」が日本の将来を担ってくれたら安心だとさえ思っていました。それだけに、議員の辞職は本当に残念でなりません。

 薗浦議員は、小生が関係する一般社団法人「環太平洋アジア交流協会」主催の会合でよく講演をしてもらいました。われわれ社団の代表理事はある著名な代議士の子息であり、市川市在住。薗浦議員も市川市を選挙区にしており、その関係で2人は親しいようです。それでしばしば講演を依頼したのでしょう。薗浦氏は安倍政権の時に首相補佐官として外交を担当していただけに海外にもよく出かけ、知己も多い模様。したがって、話の中身も精緻で、よくこんなことに関心を持ったなとか、よくそんなことまで承知していて、首を突っ込んでいたななど本当に感心します。

 ですから、毎回、薗浦氏の講演会は盛況。同じく国際情勢で原稿を書いている小生も毎回、彼の話を聞くのが楽しみでした。読売新聞記者を務めたメディア出身者であり、その面からも同業者だった小生は親しみを感じています。今回のような訴追を受けなければ、外交、防衛畑で自民党を引っ張り、近い将来、関係大臣のポストに就くことも間違いなかったでしょう。経済安全保障に詳しく、産油国や日本の非友好国との関係強化にも熱心な薗浦議員を失うことは間違いなく、日本国の損失だと思います。

 容疑の内容は、政治資金パーティーで得た資金のうち4000万円を収支報告書に載せなかったということのようです。で、秘書が語るには、これを自由になる「裏金」として運用する予定だったとか。小生思うに、政治家にとって自由になる金はある程度必要です。内閣官房や外務省にも、目的を明確にしないで遣える金、領収書も要らない予備費があるように、個人で世界を動き回る議員にも本来そういう金は欠かせません。

 他の議員や秘書もひそかに打ち明けているように、政治資金パーティーで得た金の何%とかは必ず裏金としてプールされるものです。優秀な議員であればとりわけ、情報を取ったり、人を篭絡したりする場合、交際費は絶対に必要です。薗浦議員について、週刊誌はこの裏金があたかも全額銀座の女に遣われていたように貶めて、面白おかしく書いていますが、そんなことはないでしょう。

 では、他の議員も少なからずやっている裏金作りがなぜ東京地検に摘発されたのか。小生は、その理由は定かに分かりませんが、たれ込んだ奴がいたことは事実。一般に秘書に嫌われるとそういう報復を受けるようですが、小生が講演会で名刺交換した薗浦議員の秘書にはそういう感じを持ちませんでした。となると、同僚議員の仕業か。小生の知り合いの政界通に聞くと、薗浦議員は永田町では高慢ちきで気配りがなく、仲間内では好かれない人物であったとか。しかも、若くして首相補佐官などに抜擢され、重用されたので周囲のやっかみもあったのだと思われます。

 想像するに、恐らくその筋でのたれ込みでしょう。でも、残念です。人が良いだけで能無しの勉強不足、選挙民の受けは良くとも国家のために役にも立たない議員より、人に好かれなくとも国家のためにまい進する議員の方がどれほど良いことか。薗浦氏には、しばらくのみそぎのあと、再び政界に戻ってきて欲しいと思います。

 上の写真は、関内駅地下街のサンタクロース、下の方は、野毛の呑み屋街で見かけた倒れたかけたサンタクロース。再び立ち上がって欲しい。