つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

歳取れば尚更、新しいことに挑戦するべき

 先日、理事をしている一般社団法人「環太平洋アジア交流協会」の忘年会に出て感じたことは、出席者になんと高齢者が多いことかという点。一般的に、会社を定年退職した人は、自宅に籠り切りではつまらない、何か社会的な接点を求めたいという気持ちで、ボランティアを始めたり、各種団体に関わることが多いようです。小生は定年で会社を辞めたわけではないのですが、それなりの高齢になったので、同年配の方々からそういう会合にいろいろ誘われます。それで、今秋、新たに「日本林政ジャーナリストの会」という組織に加わりました。

 実は小生、地方支局にいた時は別にして、農林水産省が管轄するような分野の取材をしたことがありません。ですが、同人誌仲間でもある全国紙のOB記者が熱心に勧めるので、加入しました。山登りが好きなので、森林と関係ない生活を送ってきたわけではないし、紅葉の森などを見ると感動します。ですから、森、緑のありがたさを実感しています。さらに、住まいのある横浜市できれいな水道水を確保するために県の水源保全税(個人県民税の超過課税)が提起された時に、地元の仲間とともにそれを推進する立場で行動したこともありました。

 ただ現在、定期執筆の原稿やら時代小説書きやらで忙しく、同人誌の友人に「小生は会費を払って会の運営を支えますが、積極的に活動に参加できないと思います」と伝えました。ところが、先日、友人が「茨城県北部の森林、製材場の様子を取材しながら、袋田の滝を見に行きませんか」と誘ってきたのです。小生、恥ずかしいことに、千葉生まれながら隣県茨城の袋田の滝を一度も見たことがありませんでした。これが最後のチャンスかも知れないと「滝」に心を動かされて一泊2日の取材旅行に同行することにしました。

 茨城県北部に位置し、袋田の滝を有する大子町はまた、日本でも有数の杉、ヒノキの産地であり、素晴らしい森林があるところ。そのため、新築された町役場自体が木材を強調した造りになっているのです。そして、われわれは町役場のほか林業組合、製材所なども取材しました。特定の産業を誇り、その振興に力を入れることは、地方都市、地域が生き抜く”すべ”であるように思っていましたが、大子町は事実その通りに木材(そのほかの名物は軍鶏料理)を売りにして生き抜こうとしています。頑張ってほしいと思いました。

 それはともかく、社団の忘年会での話。仲間の一人が「今年も間もなく終わり。歳を取ると、一年の経過が速くなるよね。どうしてだろう」と言うのです。彼は小生と同年で、団塊の世代末期の生まれ。小生も確かにそう思うし、実感として小学校のころと比べて時間経過が4倍くらいのスピードに感じます。で、「その理由は」と問うて結論的に得た答えは、歳を取ると経験したことが多いので感動がない、子供のころは身に迫ることが新鮮なことばかりで、しかも覚えることも沢山なので時の流れを遅く感じるのだろうとのことでした。

 早い話、年寄りは無感動になり、それが時の流れを早く感じさせているということか。ですから逆に言えば、一年を長く感じるには、年寄りになればなるほど、新しいことに取り組み、「へー、こんなこともあったのか」「これは知らなかった」という新鮮な感動を得ることが大事なのではないかと思うのです。そういう意味で、新しい会合に加わり新しい友人を得、新しいジャンルのことを見聞するのは良いことかも知れません。

一番上の写真は袋田の滝。圧倒的な水量と落差に感動しました。2番目は滝の前で、林政ジャーリストの会会長で同人誌仲間でもある友人との一枚。3枚目は、今年新築された大子町役場。地域の特産品である木材をふんだんに使ったユニークな設計の庁舎で、全国から見学客が引きも切らないそうです。