つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

予選リーグは要らないのでは

 ロンドンオリンピックの女子バドミントンの試合で、中国、韓国など4組8選手が「無気力」と判定され、失格処分を受けたとのこと。せっかく、オリンピックまで来ていながら無気力とは情けないと一見思いましたが、いろいろ事情を聞いてみると、なるほどとうなづける部分もあります。原因は、今回、バドミントンに初めて予選リーグができたことです。無気力の8選手はすでに予選リーグ突破が決まっていて、決勝リーグでは初戦に比較的軟弱なチームと当たり、勝ちを収めたい、その勢いで準決勝、決勝と上りたいと考えたのでしょう。
 この予選リーグというのは、確かに大きな問題をはらんでいます。今回、なでしこジャパンも予選リーグ最終戦でまじめにやれば、明らかに南アフリカに勝てたと思うのに、ほとんどやる気を見せず、テレビ観戦している小生らもがっくりしました。特に、ゲーム後半はセンターライン付近でのデフェンス陣による球回しばかり。南アチームもまた、この日本側の球回しをインターセプトに来るわけでもなく、いたずらに時間が経過するだけのバカげた試合でした。
 なでしこジャパンがこの試合をほとんど「無気力」化したことはそれなりに理由があるようです。つまり、南アに勝ってリーグ一位通過すると、再び8時間もかけて一回戦を戦った北部のグラスゴーまで移動しなければならないということ、さらに準々決勝の相手がフランスか米国になってしまうこと。その両方を避けたためのドロー演出だったようですが、同じリーグのスウェーデンも同様のことを考えていたらしく、カナダとドローに。だが、得失点差で”幸いなこと”に日本が2位になり、佐々木監督の目論見通りとなりました。
 でも、よくよく考えてみると、これって変ですよね。もし、なでしこが本当に金メダルを狙うのだったら、準々決勝でも準決勝でも決勝でも結局、米国やフランスに当たるわけですから、どこかの時点で破っておかなければ、最終勝利者にはなれません。米国に次いで2位でもいい、米国、フランスに次いで3位でもいいというのであれば、こういう戦術も考えられますが、金メダルを目指すのであれば、敵がいつどの時点で攻めてこようと我行かんという姿勢でないと駄目だと思います。WCの準々決勝で強敵ドイツに勝って勢いに乗ったことを思い出すべきです。
 もし、こういう戦術を取って、仮に準々決勝のブラジル戦に負けたら、結果主義から言って、佐々木監督は大いに批判されるでしょうし、なでしこジャパンの栄光にも若干傷がついてしまうでしょう。とつらつら考えていくと、やはり南ア戦でも精一杯戦ってほしかったですね。バドミントンでの中国、韓国選手を笑えません。姑息な戦術を用いれば、結局、戦術の陥穽にはまってしまうということです。
 それにしても、やはり予選リーグの存在というのは感心しません。どうしても最終戦は次の対戦相手を考えて無気力の試合になりかねません。かつて、サッカーのワールドカップでも同じような状況がありました。予選リーグ最終戦の無気力化をなくす、うまい手段はないものでしょうか。それとも、高校野球のように最初からトーナメント戦にし、予選リーグはなくした方がいいのでしょうか。
 下の写真は、東京・府中にある東京外国語大学の正門。小生の母校ですが、2003−05年に次いで、今年春学期だけ「国際関係論−現代中国論」の講義を持ちました。