つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

共通クーポンでなく、自らの売店専用だった

 先週末金曜日から日曜日にかけて、香港時代のアウトドア仲間とともに東北宮城県方面にドライブ旅行に出かけてきました。今、ゴーツゥー何とかのキャンペーン中で、なおかつこの週末天候も良かったので、結構、観光地は人出がありました。新型コロナウイルスの自粛にうんざりしていた人たちがもう我慢ならんという感じで出張ってきたようです。良い天気なら、車を持つ人が動かしたくなるのは分かる気がします。でもその分、高速道路は大渋滞でした。この悪パターンは何とかならないものか。

 一日目は友人の車で夜に出て、宮城蔵王遠刈田温泉を目指しました。この地は、小生もその昔、山形支局在勤時代に車で良く訪れた場所で懐かしい。深夜1時ごろに現地に着き、温泉内のキャンプサイトにテントを張りました。テント内でガスコンロで熱燗を作り、酒盛りしていた時は快適。しかし、シュラフにくるまり、寝ていると、しんしんと下から冷えが上がってきて、寒くて寝られなくなりました。いつもは風呂上りの体で温かい布団にくるまるのと違い、明らかに外気温10度以下の中での野営はやはり辛い。

 小用のために起き、テント外に出るとさらに寒さを感じます。星空満天の上空はきれいなんですが、露天での用便中、近くでガサゴソと音が聞こえてきてゾッとしました。なんせ、今年は例年になくクマの活動が活発で人を襲うケースが多いというニュースを聞いていたので。無防備なこの恰好で襲われ、そこかしこ食いちぎられたら無様だなとしみじみ思いましたが、幸いなことに、クマではなかったようです。はて、犯人は何だったのか。

 二日目朝は遠刈田の地元民向け温泉に浸かりました。ここのお風呂、夏油、飯坂温泉の過激高温には負けるけど、温度がかなり高い。小生は熱い風呂は大好きなのですが、同行者は入れず、自分のところだけ冷水を入れていました。でも、久しぶりの温泉はいい、しかも冷たくなった体には高温風呂は有難い。遠刈田からはエコーライン、蔵王お釜巡りを目指しました。だが、2000メートル近くなってくると、横殴りの雨でなく、みぞれ模様。さらに今年秋に初めて見る降雪。視界も悪くなったので、途中で頂上のお釜行きはあきらめて塩釜方面へ方向転換しました。

 塩釜には海鮮市場があり、ここにはご飯とみそ汁だけ提供してくれる食堂もあります。客は好きな海鮮ものを市場で買って持ち込み、ご飯の上に載せて食べるのです。このシステムも一興。われわれはマグロ、タコ、イクラを買い、シェアして食べました。そう言えば、食べているうちに、東日本大震災のあとの1年後くらいの時にもここへ来て、同じようにこの市場で同じシステムで食事をしたことを思い出しました。歳を取ると、遠い昔のことを思い出せても、近い過去のことは忘れやすい。

 二日目夜は、石巻市の追分温泉というところに泊まりました。まあ、遠刈田、秋保、作並温泉ほど有名でないのは、山中の一軒宿であり、温泉も源泉かけ流しでなく、鉱泉で沸かし湯だからのよう。でも、土日ということもあって客人はかなり多かった。ここで初めてコロナ対策の一環である「地域共通クーポン券」をもらいました。旅館宿泊料金15%相当の金券。もともとゴーツゥーで宿泊代金も割引されているので、われわれがもらったのは一人当たり1700円のクーポン券でした。

 ただ、興ざめだったのは、この旅館、地域共通クーポンでなく、「これは当旅館内のみ有効」という感じで自前で印刷した券を出したこと。旅館は一軒家ですから、クーポン券はそこの売店で土産を買うのに使うしかない。このあと、女川町のショッピングモールに行くことになっていたのですが、そこまでクーポン券は持って行けない。あとから、「シーパルピア女川」のモールに行くと、かなり土産品も豊富でしたので、共通券が使えないのは本当に残念でした。

 敢えて勘ぐれば、旅館内売店専用の券を出していれば、後日、自治体から配布を受ける共通券の正規の金額と商品卸価格との差額分の”儲け”もあるし、旅館内売店の商品もさばけるから一石二鳥です。ひょっとすると、この地域の別の旅館、ホテルも同じようなシステムを取っているのかな。そうだとしたら、地域共通にはならない、クーポン券の”囲い込み”です。金を万遍なく回すことが経済発展につながるという視点で見ると、大変残念なこと。兼好法師の言葉を借りれば、「この木(自前の券)なからましかばと覚えしか」(徒然草、神無月のころ)の心境でした。

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 上の写真は、遠刈田温泉の公園内に張ったテント。下の方は、塩釜海鮮市場で、海鮮持ち込みでどんぶりが食べられる食堂。