つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

NZの公民投票で65%が安楽死に賛成とか

 ニュージーランドで10月17日に総選挙が行われ、アーダーン現首相の与党・労働党が勝利したことはすでに報じられていますが、この選挙の際に一緒に、安楽死の是非と大麻の合法化についても公民投票が行われていたことは案外知られていません。小生も、最近まで知りませんでした。40歳という若い女性ながらなかなかいかつい顔をしたアーダーン首相、新型コロナウイルス感染防止で大胆な措置を取って名を上げましたが、そればかりでなく、こんな“際どい”ことを公民投票にかけていたとは、なかなかやるものです。

 公民投票の最終結果が11月6日までに集計され、結局、安楽死を認めることについては65・2%の人が賛成、反対が33・8%。娯楽としての大麻合法化については46・1%が賛成で、53・1%が反対したとのこと。大麻については、欧州のベネルックス3国やカナダ、米国の一部の州ではすでに解禁されており、こういう問題に対し”先進国”であるニュージーランドも追随するのかなと思いましたが、これには案外”保守的な”結果が出ました。大麻の解禁については、小生は賛成ですが、再三論拠を説明しているので、ここでは触れません。

 今回は安楽死について言及します。日本の京都でも今夏、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患っている女性患者(当時51歳)の安楽死をほう助したとのことで医師2人が逮捕、起訴されました。老齢化社会を迎えようとしているので、われわれも決して他人事ではありませんね。安楽死についても前にこのブログで書きましたが、小生は賛成です。基本的に自由意思で死を選ぶのは個人の問題であり、本人の判断に任せるべきだと思っています。ですから、現行法制下では犯罪とされるのはやむを得ないのですが、訴追された医師は気の毒でなりません。

 ちなみに、ニュージーランド(NZ)では、国会がすでに安楽死を認める法案を成立させ、来年11月から施行させようとしているところです。すでに国会が認め、アーダーン首相も個人的に安楽死を支持しているそうですが、大きな問題なので、最後に国民の意思を聞きたいということで公民投票にかけたようです。念には念を入れたもので、なかなかできないことです。それで、国民の3分の2以上が賛成との結果が出たのであれば、安楽死は認められていいのではないか。

 正直な感想を言わせてもらえば、ALSなどは治癒の見込みがないどころか、段々体力が衰えていくなどの症状があり、患者本人は言うに及ばず、家族も医師も見ているのが辛いでしょう。であれば、早期に死を迎えるというのも一つの解決方法かと思います。悲しいことですが、、。また、末期がんで治る見込みがなく、しかも老齢であれば、もうこの辺でという人もいるでしょう。死はだれでもいつかは訪れるもので、「死期は自分で決める」ことを絶対悪のように忌避するのは問題だと思います。

 ただ、必要なことは、どこまで個人の自由意思が尊重されるかということでしょう。医療への支出、家族への負担などを考えて、患者本人が心底では望まないのに、周囲の意思で安楽死意思を表明させたり、そういう状況を作ってしまったりすることは避けてほしい。保険金などが介入すると、まかり間違えば、殺人になってしまいますから。日本でも安楽死を認めるなら、そういう不信感を引き起こすことがないよう、自由意思を担保するようなシステムを確立してほしいと思います。

 実は、安楽死大麻と同じようにベネルックス3国やカナダですでに認められています。欧州ではシェンゲン協定によって国境またぎが自由ですから、フランス人の中には陸路でベルギーなどに行って安楽死を求める人が増えているとか。フランスメディアがそう報じています。日本人でも今、国内でできない内臓の移植手術や不妊治療などを求めて海外に行く人は大勢います。安楽死が依然犯罪であり続けるならば、老人や難病者がそれを求めて海外に行くケースが出てくるかも知れません。

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 上の写真は、宮城県遠刈田温泉で見た紅葉樹。

難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者(当時51)に頼まれ、薬物を投与して殺害したとして医師2人が嘱託殺人罪で起訴された事件で、京都府警は29日、別の難病患者が海外で安楽死するのに必要な書類を偽造したとして、大久保愉一(よしかず)容疑者(42)=仙台市泉区=と山本直樹容疑者(43)=東京都港区=を有印公文書偽造の疑いで再逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。

 捜査関係者らによると、2人は昨年9月、九州地方に住む別の難病患者の20代女性が、海外の自殺幇助(ほうじょ)団体に安楽死を依頼するのに必要な書類を偽名で作成するなどした疑いがある。女性は実際には渡航していないという。

 2人は昨年11月30日、ALSの女性患者が暮らす京都市中京区マンションを訪れた際にも、付き添いのヘルパーに偽名を告げて面会したとされる。2人が退去した後、女性は容体が急変し、死亡した。府警は2人が偽名を使い、身元の発覚を免れようとしたとみている。

難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者(当時51)に頼まれ、薬物を投与して殺害したとして医師2人が嘱託殺人罪で起訴された事件で、京都府警は29日、別の難病患者が海外で安楽死するのに必要な書類を偽造したとして、大久保愉一(よしかず)容疑者(42)=仙台市泉区=と山本直樹容疑者(43)=東京都港区=を有印公文書偽造の疑いで再逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。

 捜査関係者らによると、2人は昨年9月、九州地方に住む別の難病患者の20代女性が、海外の自殺幇助(ほうじょ)団体に安楽死を依頼するのに必要な書類を偽名で作成するなどした疑いがある。女性は実際には渡航していないという。

 2人は昨年11月30日、ALSの女性患者が暮らす京都市中京区マンションを訪れた際にも、付き添いのヘルパーに偽名を告げて面会したとされる。2人が退去した後、女性は容体が急変し、死亡した。府警は2人が偽名を使い、身元の発覚を免れようとしたとみている。