つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

彭帥は政治の風に踊らされた道化役者?

 最近の中国関連のニュースで驚いてしまったのは、張高麗という前期政治局常務委員会にいた指導者が国際的に著名なテニスプレーヤーの彭帥女史と性的な関係を持っていたということ。あんな真面目くさった顔をして常務委の末席でしゃっちょこばっていた男がしっかり、女性スポーツ選手を口説いていたとは、世の中は分からないものです。それはともかく、彭帥女史は今、行方不明になっており、国際女子テニス協会WTA)ばかりでなく、ジョコビッチら多くのプロ選手、関係者が心配しています。どこに行ってしまったのか。

 張高麗は元のトップ江沢民と親しく、山東省の書記に引き上げられていました。この時期、江が家族ともども同省の名山である泰山に登りに来るというので、全山を封鎖、一般客の入山を禁止して江シフトを敷くほどのごますりを見せていました。これはさすがに一般客の顰蹙を買いましたが、ごますりが優先です。この時、江は自分の足で登山したわけでなく、昔のお大尽のように4人が担ぐ輿で登山しました。中国語ではこれを「抬轎子(タイジァオズ)」と言いますが、巷間良く知られる「拍馬屁(パイマーピ)」と同様、ごますりと言う意味でも使われます。このごますり男はその後特別4市の一つ天津市の書記に出世し、さらに中央に出て筆頭の副首相となり、トップセブンの指導部入りを果たしました。

 張が彭帥女史と関係を持ったのは天津市書記時代だったようです。芸能人であろうと、スポーツ選手であろうと、国家の権力者に接近するのはある意味自然なこと。中国では、かつて文革のグループに取り入り、閣僚までなった荘則棟(男性)という卓球の選手がいましたし、江沢民時代の中央指導部に接近した郎平というバレーボール選手もいました。ロシアでも、新体操の女子選手アリーナ・カバエワプーチン大統領といい仲になり、出産して、現在同居しているという説もあるほどです。

 彭帥はSNSに投稿した記事の中では一方的に被害を受けたように書いていますが、果たしてどうか。権力に擦り寄ろうとした面がなかったわけではないのでは。結局、自身が張高麗と付き合っても良い目に遭わなかったし、さらには張には冷たくされたので、報復として関係を暴露したというのが真相だと思われます。でも、張高麗もこう言っては何ですが、最高権力層の一員であれば、女性などいくらでも寄ってくると思うけど、寄りにもよって筋骨隆々でそれほど見目麗しくもない体育会系の女性を気に入るというのは驚きです。自身が貧弱な体であるから、劣等感の裏返しか。

 張高麗、彭帥問題について中国外交部スポークスマンは「外交問題で問題でないので、答えられない」と歯牙にもかけない対応です。確かに外交問題ではなく、国内の男女問題なのですが、事は元最高指導部のスキャンダルであり、当の彭帥女史が行方不明になっているのであれば、これは”事件”です。しかも、彭は国際的なテニスプレーヤーであり、国際テニス協会ばかりなく、クリス・エバート夫人、ジョコビッチ大坂なおみらの著名選手までが心配しているとなれば、記者は関心を持たざるを得ない。中国当局も答える義務はあると思うのですが、、。

 小生も元記者の野次馬根性で、この張彭スキャンダルの裏側を探ってみたくなりました。張高麗は習主席1期目(2012-2017年)の最高指導部にいましたが、背景を探ると泰山でごまをすったように江沢民派です。となると、現在、江沢民派の一掃を図っている習近平にとってはこのスキャンダルはフォローの風になります。現在の指導部内にも韓正筆頭副首相ら江派の幹部はいます。そういう人たちを来年の党大会で葬るには願ってもないニュースであったでしょう。という視点で見ると、何やら彭帥自身もこの政治の流れ(権力闘争)の中で踊らされた道化役者のように見えてきます。

 上の写真は、上野駅中央口コンコースに飾られたクリスマスツリー。

日暮高則のチャイナ・スクランブル