つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

胡錦濤帰国は、政治的正統性欠如の証明

 ちょっと古くなってしまったのですが、ある人からぜひウルムチでのウイグル人暴動の話を書いてほしいという依頼がありましたので、感想を書きます。実は、写真週刊誌の「フライデー」からコメントを求められ、小生の話した内容が今週号に掲載されています。
 正直、胡錦濤国家主席が主要国サミットに出席する直前、イタリアから帰ってしまったのは驚きでした。世間では、帰国の理由として、どうせサミットに出ても、周りから人権問題でやいのやいの言われるのがいやだったから、あるいはサミットどころでない大変な事態が起きたので戻ったという見方でした。小生は、どちらかと言うと後者の見方を取りました。人権問題に関して言えば、他国から攻められることに中国は慣れているし、ある意味カエルの面に小便でしょう。こういうときはいつも、「内政問題であり、不干渉でありたい」と一言で切り抜けてしまうのだから。
 小生は帰国の一報を聞いたとき、これはとんでもない事態が起きたのでは、と思いました。それは例えば、ウイグルで軍単位の反乱が起きたとか、あるいはウイグルと歩調をあわせてチベット辺りでも暴動が起きたとか。今のところ、そういう感じは見られないので、小生の思い違いのようです。
 それにしても、胡錦濤の帰国を見て、やはり中国は最高権力者がいなければ、当面の事態に対処できない、「人治」の国だなという点を再確認させられました。こうした事件の処理は結局、権力機構によって恣意的に処理されるわけで、最高権力者がいないと決定できないわけです。
 中国共産党政権というのは、もともと軍事的な革命によってもぎとった、レジティマシー(政治的正統性)のない土匪政権なのです。そのトップたる胡錦濤氏も、13億人人民の投票行動で選ばれたものでなく、たかだか7000万人党員のヒエラルキーの中で選ばれたにすぎません。いや、7000万人の党員ですら、胡氏を選ぶ力を行使しているわけでなく、党中央最高トップの権力バランスの上で決まっただけでしょう。
 レジティマシーがないのですから、雑な言い方をすれば、胡錦濤主席が海外にいたときに反乱軍がクーデターを起こせば、彼は失脚する可能性すらあるわけです。中国の権力とはしょせん軍事力をバックした強圧政権であり、反乱が起きれば政権を追われる、そういう危ない状態に置かれています。だから、ウイグルの小規模な反乱(騒ぎ)でも許されるわけがありません。徹底弾圧あるのみです。
 日本では、麻生首相などというおよそ権力者にふさわしくないトップであっても、民主的に選ばれた以上、その権力は保障されるのです。クーデターが起こる余地はありません。てなことを書いていたら、長くなってしまいました。ウイグル族自治区自体の問題に触れるのは後日にします。
 下の写真は、先日、翻訳会社の暑気払い会で屋形船に乗って品川沖合に出たとき、トワイライトの中、浜松町方面を見た景色を切り取ったものです。