つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ヒナ壇で並んでも、権力闘争は続く

 9月3日に、中国・北京市では抗日戦勝記念の大規模な軍事パレードが挙行されました。ここで注目されたのは、かつての党のトップである江沢民胡錦濤の前元国家主席の動向でしたが、2人は習近平現主席の隣で天安門上のヒナ壇に並びました。これを見た一部のマスコミでは、反腐敗キャンペーンに名を借りた権力闘争は終わったのではないかという見方がありましたが、小生に言わせれば、飛んでもないこと。抗争はまだまだ続くと見ています。
 実は、江沢民は、万里や喬石など最近逝去した有力引退幹部の葬儀に姿を見せず、このところずっと消息不明でした。公の席に出ないよう習からの指示、圧力があったのか、あるいは反対に江による習への在野からの無言の威圧、嫌がらせなのか。いろいろな見方がありましたが、小生は、89歳の老人なので単純に体調が悪いのかなと思っていました。それが今回、手すりにつかまりながらも立って閲兵したので、正直驚きました。
 習近平江沢民が並んだと言っても、2人が氷解したわけではありません。習らの反腐敗キャンペーンは続くと見ています。7月末に前軍事委副主席の郭伯雄が拘束、調査を受けていることが発表されましたが、彼は胡錦濤時代に胡主席に従わず、専ら軍における江沢民代理人を務めていました。この夏、さらに周本順河北省書記、奚暁明最高法院副院長も拘束、調査対象となりましたが、彼らも間接的に江につながる幹部であり、これまでの経緯も含めて習、王が江沢民派を標的にしていることは間違いありません。
 関心が持たれるのは、江派の反腐敗幹部摘発で次の標的はだれかですが、その標的逃れを目指すような動きも出てきています。前政治局常務委員で全国政協会議主席でもあった賈慶林、元最高法院院長の王勝俊が隠し資産を党中央規律検査委に自発的に返納したのです。江派の幹部である2人は、いち早く”自首”のポーズを取って、自らに調査の手が及ばないよう懇願しているようです。
 賈慶林はあまり能力があるとも思えない幹部ですが、福建省書記、北京市書記を経てトップ9の党中央政治局常務委員に昇り詰めました。この出世を演出したのが江沢民です。王勝俊も、最高法院院長に上がる前、政法委員会秘書長などを歴任、処断された周永康前政治局常務委員や奚暁明最高法院副院長という江派の幹部と親しい関係にありました。
 賈慶林はこのほど、福建省アモイ、河北省承徳に所有する、不動産価格は9800万元を超えるという2つの豪邸の返納手続きを取りました。王勝俊は規律検査委に自己弁明書を提出し、併せて院長時代に受け取った現金、腕時計、住宅6軒などの賄賂を自主的に返しています。江との関係を切りたいという強い意思表示でしょう。
 江沢民と言えば、さらに注目されるのは上海でIT関連企業の元締めをしている実子の江綿恒、江綿康の兄弟。彼らまで反腐敗の締め付けがあれば、江も黙っていないでしょう。その反発の形はどのように表れるか。あるいは習近平追い落としのクーデターなのか、香港サイドの一部では、政変劇の可能性もあると見て注目しています。

 上の写真は、栃木県北部、那須高原にある朝日岳頂上でのスナップ。9月最初の週末に香港時代の仲間と茶臼岳(標高1898メートル)と朝日岳(同1896メートル)に登ってきました。胃の摘出手術後3か月強しか経っていませんが、何とか登る体力はありました。嬉しかったです。