つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

パナマ文書、中国への影響はどうなる?

 パナマの法律事務所から流出したタックスヘイブン租税回避地)における世界の政治家、経済人の資産隠し記録、いわゆる「パナマ文書」が今、話題になっています。アイスランドの首相は辞任、英国のキャメロン首相も言い訳に苦慮している一方、民主主義国家とは言いながらほぼプーチン独裁状態であるロシアの大統領は「西側の陰謀だ」と主張し、切り抜けようとしています。当分、世界を騒がすことは間違いありません。
 チャイナウオッチーである小生は中国の中央指導者関係者の関与に非常に注目しています。これまで名前が出ているのは、現役の政治局常務委員クラスでは、習近平国家主席の実姉斉橋橋の夫訒家貴、劉雲山書記局常務書記の息子の妻賈麗青、張高麗副首相の娘婿李聖の3人。また、かつての同クラス関係者では、李鵬元首相の娘李小琳、賈慶林元政協会議主席の孫娘の李紫丹、曽慶紅元国家副主席の実弟の曽慶准、温家宝元首相の息子と娘婿、胡耀邦元総書記の孫娘らの関与も見られます。
 習近平の義兄訒家貴は不動産会社のオーナーとして国内各地で幅広く不動産の売買を手掛ける男で、以前からそのいかがわしさが問題になっていました。このため、習近平自身も姉に自粛を求めたとの話も伝わってきています。義兄がタックスヘイブンで税逃れしていることに、習近平本人がどれだけかかわっているかは分かりませんが、もし国内で問題になれば習自身相当なダメージになります。
 でも、国内では問題にならないようです。なぜなら、パナマ文書に中央指導者がかかわっていることは国内メディアで一切報道されてませんから。さすがマスコミ統制の独裁国家NHKが衛星放送でこのニュースを報じても、中国国内のテレビではプツンと途中で切られて、黒い画面になってしまいました。中央指導層はこの問題を相当センシティブにとらえている様子が見て取れます。
 今回のパナマ文書は、面白いことに、中国国内のいわゆる腐敗摘発に名を借りた権力闘争などを一切忖度することなく、中央指導者たちのヤミの問題点を暴き出している点です。共産党の最高権力組織である政治局常務委員のトップセブンでは、腐敗摘発キャンペーンを進める中心人物の習近平も今回の文書に出てくるし、キャンペーンで攻撃されている方、江沢民派の劉雲山張高麗の名も出てきます。
 つまり、対立するどちらの派閥もこの文書を権力闘争に利用することはできないのです。唯一、パナマ文書をもって中央指導者の不正を追及できるのは一般大衆ですが、彼らは報道をシャットされ、抗議手段を抑えられていて何の抵抗もできないのが現実です。そういう視点から、中国ではパナマ文書がどういう意味を持ち、今後どういう影響が出るのかに非常に関心を持っています。


 上の写真は、4月9日朝、新宿御苑で挙行された自民党の「桜を観る会」の風景。ソメイヨシノは葉桜になりかけていたけど、八重桜はそろそろ満開といったところ。陽気に恵まれて、桜を堪能しました。