つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

店先の羊肉窃盗のネット公開は正当か

 東京・赤坂のビルの中にあるモンゴル焼肉料理店の店先から30キロを超す羊肉の塊を持ち去った男がいました。なぜ、店先に羊肉があったかというと、店は、通常早朝は開店しておらず、人もいない。したがって精肉業者が毎日の配送としてドア外に置いたものでしょう。30キロ超の生の精肉を持ち去る人もいないだろうということで、店と業者間でそういう配送ルールになっていたのだと思います。
 しかし、この羊肉の塊を持ち去った男がいたのです。男は店頭に設置されていた防犯カメラでばっちり写されており、警察用語で言うところの人定(人をだれか認識すること)はできる。そこで、店のモンゴル人店主はネット上にこの犯行の一部始終の動画を掲載し、犯人逮捕を呼び掛けたのです。
 店主は「この男が持ち去ったことは疑いないわけで、この男を放置したら、次々に同様事件を引き起こす恐れがある」とし、ネット公開の正当性を主張しています。ですが、犯罪と確定していない者を勝手に犯人扱いし、ある意味懲罰的に顔をさらして犯人捜ししていいのか、肖像権の侵害ではないかとネット上で炎上。それがワイドショーで取り上げられていました。
 実際、肉はこの店から少し離れた路地裏に放置されていたとのことで、持ち去った男が私物化しているわけではない。ごくごく良心的に見れば、ビルの通路に放置されていたので、警察に届け出ようと思い、持っていったということも考えられないこともない。ワイドショーのコメンテーターは、犯罪は裁判によって確定するもので、一般人が恣意的に犯人扱いをし、それをネットに公開していいのかという意見でした。
 小生が見ても、なかなか難しい問題だと思います。ただ、コメンテーターが言うところの裁判まで犯人扱いできないというのは明らかに言い過ぎ。マスコミは一般的に逮捕、あるいは指名手配した段階で人定して報道します。裁判まで行かなくとも事実上犯人扱いしているのです。「裁判まで」などというつまらない建前論、人権論の振りかざしは意味をなさないと思います。
 今回のケースは、盗まれたところの状況から見て、ビルの中だけに30キロの肉の塊をだれかが落としたとは考えられず 羊肉がモンゴル料理店に届けられたものと簡単に推察できるわけです。それを持ち去ったのであれば、明らかに窃盗行為でしょう。となると、店主が言うように再犯を防ぐという意味でネットで公開するのは致し方ないのかなとも思います。
 もし、これが肖像権の侵害、人権擁護上問題があるというなら、羊肉を持ち去った男が正々堂々と名乗り出、自分のしたことが犯罪ではないと訴えて、モンゴル料理店主に反論したらいいと思います。


 上の写真は、いずれも新宿御苑の桜。