つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

内モンゴルに大草原なく、鬼城ばかり

 今月2日からきのう12日まで、中国の内モンゴル自治区の区都フフホト、シラムレン大草原、包頭、オルドスと北京を旅行してきました。包頭は、山崎豊子作の「大地の子」にも登場した製鉄工場とレアアース産出の地として有名で、われわれもレアアースを扱う日系企業を訪問し、レアアースの取引所も参観してきました。オルドスは世界的に有名な鬼城(ゴーストタウン)の町。街中各所に高層ビルの住宅が林立するも、いずれも入居していないか、建築途中で放棄した状態でした。
 小生、30数年前にも内モンゴルを訪問したことがあります。そのときは、フフホトから数十キロ離れたところに大草原があり、その場に立つと、360度草原しか見えなかったことが今でも強く記憶に残っています。ですから、内モンゴルと言うと大草原しかイメージしなかったのですが、今回は草原に数多くの建造物が建ち、かなり印象が違いました。
 フフホトも包頭も、街には全国展開のチェーン飲食店が乱立し、そのほか香港のカジュアルチェーン店やユニクロもあるのです。なんだか、街の大変化を感じたというより、ああモンゴルもふつうの中国の都市になってしまったのだなという思いが去来しました。ここでは羊肉のしゃぶしゃぶ(涮羊肉)が本場で、今回、小生らも都合3回食べました。昔北京駐在時代にもよく王府井の「東来順」というしゃぶしゃぶ屋に行きましたが、本場はやはりうまかったです。
 フフホトから数十キロ離れたシラムレン大草原では、すでに布で覆う移動式のパオはなく、観光用のコンクリート造りの「パオ」が林立。360度何も見えない大草原ではありませんでした。今、草原は完全に観光地となっていて、そこいらじゅうに建てられたこの観光「パオ」がモンゴル人の働く場所になっているそうです。放牧者は今はなく、定住農民ばかり。ちょっと期待外れの感がありました。
 オルドスの鬼城は日本でもしばしば報じられ、テレビにも登場し、あまりにも有名です。過剰な住宅投資があったことから、区政府が2年前に、全プロジェクトに対して5年間の建築停止を命じたそうです。そのために、そこかしこに建築途中の建物ばかり。クレーンが残されているものの、一人の建設労働者はおらず、殺風景この上ない。5年間も停止していたら、恐らく裸のコンクリートがだめになり、スムーズな再開は難しいと思います。


 上の写真は、シラムレン草原でわれわれが泊まった「パオ」風の建物と、大草原をバックにモンゴル相撲の「表演」(演技)をする若者。