つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

外国人力士の台頭は大相撲人気を減退させる

 大相撲3月場所が終わりました。最初のころは小兵の翠富士が全勝で引っ張り、後半戦は大栄翔が頑張りました。それで大栄翔が優勝するのかなと思っていたら、3敗の霧馬山が千秋楽に逆転優勝してしまいました。実は小生、モンゴル人力士の中で、照ノ富士逸ノ城のような大型力士は好かないのですが、霧馬山や豊昇龍のような中型体形で粘り腰の力士は嫌いではないのです。という観点からすれば、霧馬山の優勝は良かったということになるのですが、日本の伝統、風習を守りたいという立場で言えば、感心しないという思いです。

 相撲取りは基本的に故郷と密接に絡んでなんぼ。だから地元に関係した地名、山、海の四股名を付けるのです。地元が応援することで巡業も盛り上がり、全体的な人気が出て来るスポーツです。今回の千秋楽、大栄翔が星をリードすることで地元朝霞市ではパブリックビューイング(PV)があり、地元の人が応援していました。一方、霧馬山はモンゴルでも首都ウランバートルでなく、なんとか県の出身であり、そこには恐らくPVはなく、住民の関心があるようには見受けられません。あっても日本には伝わらない。

 WBC日本チームの優勝でこれだけ盛り上がった風景を見ると、やはり日本人以外の力士の優勝はどうなんだと思ってしまいます。モンゴル人力士の優勝は長い目で見ると、世間の大相撲人気をアンダーマインしてしまう危険性を孕んでいます。いずれ「なーんだ、モンゴル大相撲か」「土俵でなく、草原でやったら」と思う人が出てくるかも知れません。WBCチームだってヌートバー一人であり、しかも日本人の血を引いているという点で歓迎されていたけど、少しでも日本人の血を引いているということだけで、もし3人、4人と日本語のできないメジャーリーガーを入ってきたら、世間はどう感じるのだろうかと思います。

 大相撲では、逸ノ城十両優勝して来場所またまた幕内中位くらいまで躍進するほか、幕内下位で大勝した北青鵬(北海道出身と言っているがモンゴル人)、金峰山カザフスタン出身だがモンゴル系)、大翔鵬らの大型力士が前頭の5位以内に入って来るでしょう。そのほか、十両には欧勝馬、狼雅という力士もいます。恐らく今年後半には霧馬山、豊昇龍が大関に昇進し、三役には逸ノ城、北青鵬、金峰山、欧勝馬などが名を連ねることでしょう。そうなった場合、旧来の大相撲ファンは素直に喜べるのか。出身の地元で花火が打ち上げられたり、PVが行われたりのイベントはなくなるでしょう。

 繰り返しますが、モンゴル、ロシア系力士の台頭は確実に相撲人気を減退させてしまいます。かつてハワイ勢が台頭してきた時にもそういう議論が出てきました。日本相撲協会はそれでも良いと考えているのか、各部屋の親方も「我が部屋の力士が優秀で、優勝するなら、外国人でも誰でもいい」と考えているのか。それは違うと小生は思います。熱海富士とか、平戸海とか、志摩の海とか、湘南の海とか、白鷹山とか地域の名を背負った力士が郷土の声援を受けて競う形が望ましいと思います。

 小生のこの意見に反対の人もいると思います。では、大相撲の国際化はあくまで必要だと考える人であるなら、「大型の黒人も入れろ」「毛むくじゃら、金髪の大型北欧人も加えるべきだ」と相撲協会に要求してください。そこまでできるのか。そこまで言えないというのであれば、それは偽りの国際化に過ぎません。大相撲が日本の文化を伝承させるものであるのなら、日本の美意識を意識させるものであるならば、少なくとも日本人だけのサークルにすべきだと小生は考えます。

 上の写真は上野公園の風景。しだれ桜の前の女性はスラックスの模様からして中国人と思われます。中国人の観光客も戻ってきました。