つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

タリバンの執政がいいなんて信じられない

 昨日出かけた飲み会は、東中野にある西アジアアフガニスタン料理の店でした。正直、長い間戦乱に明け暮れてきて、今でもタリバンというイスラム原理主義武装組織が極端な執政をするこの国に、うまい料理などあるのかと思いました。小生は中国にいたときに新疆ウイグル自治区内モンゴル自治区などを旅行して毎日朝昼晩と羊肉を食わされ、うんざりしていたので、あまり期待していなかったのです。でも、この店の羊肉は独特の“匂い”はなく、小生でもおいしく食べられました。でも当ブログでは料理の話はしません。

 実は、この店のマスターは以前アフガンに滞在したこともあり、思い入れがあるのでしょうか、今のタリバン政権を高く評価するのです。で、小生は「タリバン女性差別ですよね。これを認めますか」と聞いたところ、「タリバンの思想から出たものであり、彼らの勝手でしょう」「女性差別はどこにでもあり、日本だってタリバン以上に女性差別しているかも」と答えるのです。小生は「えー」という感じになりました。

 そして、タリバンがアフガンの歴史的な建造物「バーミヤン遺跡」を爆破したことについて「どう思いますか」と尋ねたところ、「歴史的なことより、宗教的な価値観を重んじるタリバンの勝手」との回答でした。彼の発言はまさにタリバンの論理でした。でも、これって小生は納得できなかったのです。彼には言いませんでしたが、キリスト教国でイスラム遺跡があったら壊してもいいのか、中国は社会主義の国だから、封建主義の歴史は認めない、だから遺跡を壊すということになってしまいます。

 確かに、中国は文革の狂気の時代に、若者が歴史的な建造物をぶち壊しました。でも、今ではそれは許されていません。歴史的な文化遺産というのは民族、人類の共有の財産であり、独り民族、時の宗教の価値観だけで勝手にできるものではないと小生は思います。ついでに下世話なことを言えば、のちのち観光資源になり、ある種の金儲けの手段にもなるんですから。中国も文革のあとそれに気づき、歴史的な遺跡を大事にしています。という観点に立つと、歴史的な文化遺産を葬ろうとするのは、狂気以外の何物でもないと思います。

 この席で、別の人が口を挟んできて、「日本が歴史的なものを重んじるのは、がっちりとした宗教的価値観がないからだ。クリスマスで教会に行った後、正月には神社でお参りし、死んだら仏教寺院で法要される。そういうちゃらんぽらんの国だから、タリバンの行動様式など理解できない」と話すのです。これも一理あります。でも、一つの宗教しか認めない国より、宗教では多様化している国の方が小生は好きです。前にも触れましたが、イランでは頭にベールをかぶっていない女性が殴り殺されたのです。小生はこんな国を嫌悪します。

 イスラム教国にも厳格なところと世俗主義になっているところがあります。トルコはケマル・アタチュルクの時代に西欧文明を引き込んで世俗化を図りました。それで、国家が発展、繁栄したし、NATOにも加盟できました。今のエルドアン大統領は世俗化を嫌っているので、やがて欧州諸国との関係がぎくしゃくしてしまうかも知れません。天下の自由人である小生は、政治思想であれ、宗教であれ、必要以上に民を縛り上げることは嫌だし、そういう国に生まれなくて良かったとしみじみ思います。

 上の写真は、トルコのカッパドキアの風景。下の方は、横浜・けいゆう病院に入院していた時に窓外に見えた景色。病院生活というのは自由が奪われる最大の時。ですから、病気になりたくない。