つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

今さら、百田氏が保守新党を作ってなんになる?

 前回に続いてまたまた政治の話。作家の百田尚樹氏は、ユーチューブの虎ノ門ニュースなどを見る限り、上から目線のしゃべり方はなく、恰好もボールドヘッドでありながらそれを気にすることなく、むしろ笑いの種にしているところなど好感が持て、小生の好きなタイプの人物です。その好々爺然の彼が、同じく虎ノ門ニュースの常連である論客、有本香女史らと「日本保守党」という新党を立ち上げました。今の自民党ではもう安倍晋三氏の掲げていた国家目標、政策は実現できないというのが結党の理由とのことですが、突然政治結社の創設まで行くとは驚きです。

 で、その日本保守党の政見なんですが、これまたユーチューブで見て驚きました。消費税は経済を悪くするので、引き下げるべきであるというのです。理想だけで現実無視の日本共産党社民党、れいわ新選組の言っていることと同じです。小生は財務省の肩を持つつもりはまったくありませんが、素人考えでも、消費税を今廃止ないし引き下げて全体の税収に影響を与えないのか、ますます財政健全化が遠のき、次世代の人たちに負担を与えるのではないかと心配になってしまいます。

 大衆迎合的な、短視眼的な政見は、まさに左翼政党の”お株”を奪うようです。「保守党」がこれと同じようなことを言うとは、どういうことなのか。この新党に「減税日本」なる政治結社を持っている名古屋市長の河村たかし氏が同調、共同代表になったところを見ると、消費税の減税というのは保守党の大きな主張であるようです。でも、「保守党」と銘打っているのであれば、もっと日本国の在り方、外交方針、安全保障などを立党の基本に据えて欲しいと思うのですが、これらについてはあまり多くを語っていません。

 対外的な問題としては「移民政策の是正」を掲げています。経済団体は「労働力不足のために外国人を入れるべきだ」と言っているのに対し、安易な外国人の流入は反対と主張しています。欧州、特にドイツでは確かに、労働力不足のために招き入れた外国人がトルコ人などのイスラム教徒であって、彼らは移民先で独自のサークルを作り、宗教活動をするという問題があることは事実。百田氏はそうしたことになれば、日本文化が損なわれるということを恐れているようです。

 でも、移民は昔からそういう多様化を引き起こす問題を抱えています。移住した同胞が仲間意識を持ってサークルを作るというのは、もうすでに日本でも証明済み。移民のブラジル人、中国人が一定地域で独自の”祖国社会”を作っています。ロサンゼルスのリトルトウキョウを思い起こすまでもなく、日本人も昔、海外移住して現地でそれなりのサークルを作ってきたのではありませんか。これは必然的な現象であり、許容するしかないと思います。もし、それが許容できないというのなら、日本の人口減少も許容し、さらには経済成長もあきらめるしかないと思います。

 その他の政見としては「二世議員の禁止、議員の家業化は止める」を言っています。この主張は小生も賛成ですが、鳴り物入りで登場してきた大「保守党」が掲げるテーマにしてはちょっと細(こま)過ぎます。改めて保守党の主張を見ると、何が目玉なのかと思わざるを得ません。「消費税減税」がメーンの主張なら、何も新党など作らず、既存の左翼政党に加担すればいいんでしょう。

 多くの百田ファンは新党結成を当初は歓迎、期待したと思われます。ですが、やがて主張の中身が表れて、がっかりしたのではないでしょうか、あまりにも下世話すぎて。それが理由かどうかは分かりませんが、今、百田、有本両論客が笛を吹いても、新しい政治の風を起こすという雰囲気にはなっていませんね。所詮、一過性のあだ花に終わる可能性が大です。

 今、幸福実現党とか、参政党とか、日本第一党とか多くの保守的な政治結社が出てきています。加えて百田氏が「保守党」を作って、これまでの大きな塊である自民党日本維新の会を切り崩し、保守陣営を分裂させて良いものでしょうか。れいわ新選組が出てきて左翼陣営がさらにバラバラになった今こそ、保守側にとってはチャンス。安全保障をしっかりさせるために憲法改正への大同団結を図るべきでしょう。

 上の写真は、徳島県西祖谷山村にあるかずら橋。怖いと言われているほど怖さは感じませんでした。山登りをしていると、この程度のところはいくらでもあります。怖かったというか驚いたのは、橋の渡り賃として一人500円取られたことです。