つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

石原新党は世間に”浸透”するか

 昨日、石原慎太郎氏が都知事を辞めて、新党結成、衆議院議員復帰に動くとの発表がありました。このニュースを聞いて最初に小生が思ったのは、「ああ、この人って、本当にニュース感覚がある人だな。突然の発表といい、発表タイミングといい申し分ないな」とのことでした。最初に都知事に立候補したときも、確か発表以前はずっと沈黙を守り、告示直前になって後出しじゃんけんの形で立候補しました。マスコミは”突然の事態”に弱いですから、彼への関心を強め、都民も期待度を高め、結局都知事になってしまいました。マスコミ利用が天才的にうまい人です。
 なぜこの時期なのか。彼の読みは多分、解散は年明け早々ではないかということでしょう。長男が自民党総裁選に敗れたので、もう自民党に義理立てすることはなく、さらに与党・民主党はまたまた閣僚辞任と混乱の極みで破たん寸前です。そして、彼にとって決定的なのは、飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本維新の会がこのところ陰りを見せ、橋本徹人気も衰えました。橋本人気が出ているときに、石原新党をぶち上げても、しょせん橋本氏の補完にしか思われず、石原氏は主役にはなりません。その点、この時期なら、維新の会を超えて石原人気が出ると踏んだのです。
 さらに、間もなく臨時国会が開かれます。国会が開かれれば、政治記者は国会議員が中心の政局に関心を移し、その活動は国会周辺に縛られ、石原氏への注目度は薄れます。したがって、自分に目を向けさせるのはまさにこの時期。国会開催直前を狙い、さらには解散時期の読みからこの時期の発表を選んだのだと思います。すばらしいほどのタイミングです。こんなことができるのは相当マスコミ掌握にたけた人が側近にいるんでしょうね。
 それはともかく、石原新党への期待度ですが、これは小生、いささか疑問に感じています。一番の理由は80歳の高齢であるという点。70歳台ならいざしらず、80歳を超える年齢はどうころんでもプラス材料にはなりません。次に石原新党がどこまで既存政党を包含していくかという点。石原氏の政策は「たちあがれ日本」とはほぼ一緒ですから、これは一体化が可能です。でもこれだけの勢力では不十分ですね。先細りの民主党から逃げてくる議員を吸収することもできますが、これも維新の会の二番煎じになり、世間からするとおぞましい感じがします。
 維新の会、みんなの党との連携はあるのか。桝添要一氏の新党改革はどうか、元国民新党亀井静香氏はどうするか。維新の会はともかく、亀井氏グループやみんなの党は消費税に断固反対した党ですから、石原新党とは一緒になれないでしょう。もし、亀井氏などを引き入れたり、みんなの党と提携したら、石原新党はだれともくっつく野合勢力と見られ、すぐにあいそをつかされてしまいます。ということは、要は今後明確になるであろう石原新党の政策が大事になってきます。多くの人を引き入れるにはぬえ的な政策提示しかできないであろうし、厳格に政策を絞れば、その中の一つでも反対する人の支持は得られません。これは維新の会も同じような試練に直面しています。
 都知事選と違って複数議員を当選させなければならない衆院選では、石原氏というビッグブランドだけで勝てるというものではありません。という意味で、今後選挙までの期間、石原氏がどう動くのか、石原新党の浸透力はどうなるか、非常に興味があります。多数を取るというのはそれほど簡単なことではないですから。
 下の写真は、バンコクで日本人が多く立ち回る街の一つハッポン通りの夜の露店商群。