つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「資産凍結は窃盗」?ロシアは殺人、強盗じゃないか

 開催中のG7サミット(先進7カ国首脳会議)が、西側で凍結されている総額3250億ドルのロシア資産について利子分をウクライナの戦争遂行と経済復興の支援に充てると決めたのですが、それに対し、ロシアのプーチンは「窃盗まがいの行為」と非難しました。この言葉を聞いて第一感、「こいつ正気か、何言っているか分かっているのか」。続いてこちらの方からも「では、お前のしていることは何なのじゃ。殺人と強盗じゃないのか」と問い返したくなりました。

 西側、特に欧米にあるロシア資産には年間約30億ドルの利息収入があるとか。ウクライナは現在戦争遂行のため、500億ドルの融資を受けているので、当面はロシア資産の利子分がこの利払いに充てられそうです。いや、戦争は今後何年続くかは分かりませんので、毎年30億ドルの分捕りができれば、ウクライナにとってばかにならない規模の”臨時”収入となりましょう。昨今は欧米諸国民に厭戦気分が出てきて、ウクライナ支援に対し、消極的になり始めた時期でもあるので、戦争相手国の資産を利用できれば一石二鳥、いや一石三鳥の効果がありましょう。

 この手段がなぜ優れているかと言えば、資産凍結に対し、ロシア側が有効な対抗手段を持ち得ないからです。ロシアの通貨ルーブルなんてキーカレンシー(国際通貨)でないので、西側との貿易がなければ、ただの”紙くず”。ロシアの銀行に大量に資産を貯め込んでいる西側企業なんて皆無でしょうから、プーチンが「われわれも西側がロシアに持つ資産を凍結し、費消する」などと強く言い返せないのです。そう言ったところで、ほとんど意味のないことを彼自身承知しているはずです。

 プーチン政権幹部を含めてロシアの政治家、オリガルヒのほとんどは西側で蓄財しています。いや、普通の小金持ちだってルーブルどころか人民元も信用せず、ドルやユーロで預金していることでしょう。という意味で、資産凍結は極めて有効なボデーブロー。オルガルヒの資産はすでに明らかになっているので最早動かすことはできないが、小金持ちたちの西側資産はまだ十分把握されていないでしょうから、ロシア人は今後さまざまな手段で出国し、資産確保に動くことでしょうね。慌てまくりぶりが目に浮かびます。

 それにしても、プーチンが「利子分利用は窃盗まがい」と言ったのには笑ってしまいました。独立国に侵入して土地と財産を奪い、ブチャなどの一部ではレイプまでしている。プーチンはこれらの行為についてどういう認識をしているのか。利子分の利用は自分たちがやっている殺人、強盗、レイプ以上の罪と考えているのか。もっと自分の顔を鏡に映して、それに向かってしゃべってみろと言いたくなります。きっと恥ずかしい思いを募らせるのではないか。いや、それでも鉄面皮か。

 今回のG7サミットで、米国とウクライナが今度10年間の「二国間安全保障協定」を結んだことも画期的でした。当面NATO加盟ができないのであれば、その前段として米国の支援を取り付けておくことは重要。今秋に万万が一、トランプが大統領になってもこの協定がある限り、簡単にウクライナとの縁は切れない。ウクライナ政府は「歴史的合意」と評価していますが、「もしトラ」リスクを防止する上で有効なつなぎ止め手段と見ているのでしょう。

 それにしても、ウクライナの戦争を一日も早く終結させる策はないのか。プーチンは最近、「占領4州からウクライナ軍が撤退することと戦後のNATO非加盟が条件」などと終結提案をしています。でも、こんな自分勝手な提案ではウクライナが呑めるわけがない。ゼレンスキー大統領が言うように、これでは、第2次大戦前にチェコズデーテン地方を奪ったあとのヒットラーの言葉と一緒。戦争を早く終結させるために、独裁者の言うなりになってはならないのです。

 上の写真は5月のある日のみなとみらい地区。ウクライナにもこういうのどかな風景が一日も早く戻って欲しい。