つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

欧米、ロシアのチキンゲームはどちらに有利か

 ウクライナをめぐって、欧米とロシアはいよいよチキンゲーム状態に入りました。チキンというのは普通鶏肉のことですが、米国では「臆病者」という意味もあります。よく言われる例として、チキンゲームとは、2人がそれぞれ車に乗り、柵なしの断崖絶壁に向かって高速で飛ばして行き、どちらが先にブレーキを踏むかという競争。国際政治の場で言えば、2つの勢力が互いに相手を威嚇し、どちらが先に臆病風に吹かれるかという争いです。最後にその脅しで臆した方は引き下がる、妥協しなくてはなりません。今、プーチンウクライナでの戦況が悪いため、それを挽回しようと核兵器を使うと脅し、チキンゲームを仕掛けました。

 それに対し、欧米は明確な反応を示していません。もしウクライナ戦線でロシアが戦術核を使ったら、果たしてどういう対抗策を取るのか。大変興味のあるところですが、明らかにされていません。でも、さまざまな情報を総合すると、ロシアの核使用に対しては西側は核で対抗するのではなく、あくまで通常兵器で対応するとのこと。NATO軍がこの戦争に正式に介入して、ウクライナの占領地域にいるロシア軍を航空機、長距離砲の通常兵器を使ってことごとくせん滅するという計画を持っているようです。

 あくまでウクライナ領内のロシア軍を対象にし、ロシア本土を攻撃しないと示唆しています。で、NATO側のこのブラフがどれだけ効果を持つものか。バイデン大統領は、1962年のキューバ危機を持ち出して、チキンゲームの怖さを示唆しています。だが、独裁国、独裁者は、自国民の保護とか犠牲者の数とかをあまり考慮しません。それが強権力を持つプーチンの特徴でもあります。すでに、ロシア軍はウクライナ戦線で7万人以上の死傷者が出ていると言われているのに、国内でその情報が公にされません。

 インディペンデントのメディアが自由に報道できれば、ベトナム戦争時の米国のように、国民が自由に反対運動ができれば、指導者も少しは抑止されるでしょう。だがロシアには厳密な意味でのメディアがないので、世論が表に出てこない。「大本営発表」しか入手できない一般国民の反発は見えにくい。たとい核戦争の到来を心配する国民がいたとしても、警棒によって封じ込められれば、訴えることはできない。したがって、今、ロシアにある現象は、ボーダーレスの国際メディアから世界情勢を入手している知的レベルの高いロシア人が自国から逃げ出すことだけです。

 そういう視点で見ると、チキンゲームの脅しはどちらの側により"刺激的”か、効果があるかは明々白々です。自由な国である西側の方に恐怖心がより表れてくるに違いありません。NATO側が「核には核を」と反撃に核を使うと言えないのは、国民世論の反発を恐れているからです。全面戦争、第3次世界大戦になることを懸念する民の声が大きいということです。逆に言えば、プーチン核兵器の使用をにおわせても、戦争の拡大化についてロシア国民から反発が出ないのは、ある意味、独裁国の”メリット”なのかも知れません。

 ロシアにも正常なものの考え方をする人はいるはずです。プーチンの側近にもいると思います。そうした人たちが、狂気に満ちたプーチンとその取り巻きの排除に乗り出すよう期待するだけです。米国はすでにプーチン排除のために特殊部隊を送ったという情報もあるが、小生は、良識あるロシア人が自らの手によってプーチンの狂気を止めて欲しいと願っています。

 上の写真は下田港で見たペリー像と、市内で見かけた秋の紫陽花。