つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

移民受け入れではプラスマイナス許容が必要

 小生の住んでいる横浜、それも関内、桜木町、石川町地域は「移民の町」と言っていいのかも知れません。いつも散歩コースにしている商店街の伊勢佐木町モールを歩いていると、周囲で聞こえる言葉は中国語、韓国語、タガログ語、さらには最近多いのがベトナム語。欧米系でなく、アジア系の移民というか、留学生というか、短期ビザを持つ労働者というか、かなりの人がいます。日本語で話している会話を聞くと、むしろ「あれ」と思うほどに新鮮です。日本も確実に移民社会になっているんでしょうね。

 日本は若年世代が結婚をせず、結婚したとしても子供を持たないため、まずます少子化になっています。で、人口減少トレンドになっており、生産力向上の目安になる若年労働者の数が減少しています。米国の投資家ジム・ロジャーズは「日本は20年後に消滅する」と言ったらしいけど、今の日本の人口減状態からすれば、あながち無茶な言い方でもなさそうです。これは、独り日本だけの問題でなく、先進国、隣の中国、韓国もその傾向があります。貧乏人の子沢山というけど、やなり子供が多いのは貧乏の象徴なのかも知れません。

 先進国中の先進国と言っていい北欧のスウェーデンも御多分に漏れず、少子化が進んでいます。そこで、移民政策を取り、多くの外国人を招き入れているのです。福祉の進んでいる北欧は魅力的ですから、中東、アフリカから多くの人が移り住んできます。スウェーデンの人口は1970年には800万人程度だったが、2005年に900万人を超え、2017年には1000万人を突破したそうで、移民で原国民減少の穴埋めどころか、人口増を図っているのです。肌の色が違うだけでなく、宗教、生活上の習慣、モラルも違う人たちが混じるのですから、原国民と軋轢を生じるのはまた必然のことかと思われます。

 移民者は自国での生活が貧しい故に外国に夢を求めて来るので、向上心も半端ない。移民の向上心はもともとの国民を刺激し、良い作用が生まれればベストですが、向上心が過激になると、犯罪に手を染めてまで豊かになりたいという輩が出てきます。そこで、最近、スウェーデンでは銃を使った犯罪が多発しているとか。若い移民二世、三世がスムーズに現地の社会に入っていけないため、彼らだけで徒党を組み、非合法な活動をしている姿も見られるそうな。

 まあ、これは移民受け入れ国では往々に見られる現象。米国も1900年代初頭、イタリア系移民が核となってマフィアを作っていたし、中国系、南米系の犯罪グループもありました。犯罪ではないのですが、EUも東方拡大したことで、原加盟国の先進国に低賃金の東欧系国家の労働者が大勢なだれ込み、現地の労働者を圧迫することもありました。英国がEUを離脱した理由の一つです。頑強な国粋主義者が「移民受け入れは止めよ」と主張、多くの人が賛同するような傾向も見られます。欧州各国で移民排斥の政党が支持されるのも、こうした流れを背景にしています。

 しかし、少子化の中で国が亡びる危機があるなら、背に腹は代えられない。日本が移民を受け入れ、「多民族国家」になるのは必然的なトレンド、仕方がない選択だと思う。広い目で見れば、移民を受け入れることで社会が活性化し、生産力、生産性の向上に向かうのです。物事には100%良く、悪いところが全くないという現象はありません。移民のメリットもあるし、それに伴うデメリットもある。先進国は豊かさを維持するために、それを許容しなくてはならないと思うのです。

 上の写真は、8月末、学士会館で開催されたアジア民族造形学会の定例総会。舞台ではネパールの楽器演奏も行われました。小生がかかわる社団法人の事務所にもネパール人がアルバイトしています。