つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

格闘技といえ、ヤーサンまがいがトップとは

いやー、これも驚きです。ボクシングがいかにケンカのように殴り合うスポーツだとはいえ、そのアマチュア団体のトップが殴り合い、暴力が売り物の暴力団の組長まがいの人だとは思いも寄りませんでした。そもそも山根明なる人、前歴が明らかでない。そのスポーツのアマチュアとしてどれだけ実績があり、どれだけ名を挙げたかも分からない。そんな人を周りがよく担いで会長などにしていたものです。
なんとなく感じられるのは、この人、強面をずっと売り物にしていたのではないかという点。意味のない色付きグラス、威圧的な物言い、曲がった口元、どこから見てもヤーサン風。つまり、自分は暴力団と関係があるよ、だから「ワシに逆らったら怖いよ、ただじゃおかんよ」という無言のプレッシャーを周囲に与え、君臨していたのでしょう。独裁者にありがちなタイプ。きっとアフリカ辺りの小国に生まれていたら、何十年も大統領でいられるような"素質"を持つ人かもしれません。
問題はなんで、こんな人が数年間とはいえアマチュア団体のトップになりえたのか。恐らく彼を中心とした利権構造が出来上がっていたからでしょう。告発組が彼の”罪状"の一つと提示していたのがボクシング・グルーブの専売権。連盟の試合に出る選手は決まったグローブを使用しなくてはならず、そのグローブは特定の店でしか買えないとか。そして、その店とは山根氏の孫娘かだれかが関係していたようで、独占販売の利益は山根側に入るようになっているのです。分かりやすい利権構造です。グローブだけでなく、その他のことでも山根周辺の人が美味い汁を吸っていたのでしょう。
格闘技というのはそもそもそも肉体的な力を誇示し、優劣を競うものですから、その種の最たる形態を持つマル暴(暴力団)との関係は完全には切れないものでしょう。日本大学の田中栄壽理事長は相撲部(これも立派な格闘技)の監督出身ですが、彼は今でも山口組の司忍組長との懇意さを隠そうともせず、しかも一緒に写った写真まで公開しています。
小生自身は、一概に反社会的勢力、マル暴関係者と付き合うのは一切罷りならぬという論には与しませんが、それでも世間の常識としてそれはそれでご法度としている限りにおいては、少しは遠慮があってもいいのかとも思います。それになのに、田中理事長はむしろ付き合いを自慢している。知的レベルを売り物にする「大学」の理事長としてはあるまじき行動。配慮が必要だとは少しも思わないのか、まか不思議です。
山根明という人もその辺のところが全く分かっていないようで、暴力団組長と付き合った過去を明らかにしたばかりか、「でも盃は受けていない」などと言い訳するのです。思わず噴飯してしまいました。彼の発言を聞いていると何か、世間一般の常識とずれている。法律に触れなければ問題ない、前科がなければ良いという反論に終始しているのはその証。この人の人となりは前々から誰もが知っていたはず。であれば、会長選任の折、健全な精神に健全な身体が宿るというスポーツ精神を謳うアマチュアスポーツ団体のトップに本当に彼がふさわしいかと疑っても良かったのではないかと思います。
マチュアスポーツ団体は国から補助金をもらっており、その使い道のいい加減さは必ず司直の手で追及されるでしょう。今や裸の王様となった山根氏は会長職を外されるどころか、それ以上の辛い境遇が待っているのかも知れません。面白く、やがて悲しいリングかな。

上の写真は、南房総・鋸山中腹の石像。