つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

投手の勝ち星は個人記録でなくチームの記録

 すでに旧聞の類いですが、読売ジャイアンツ坂本勇人選手が11月8日に2000本安打を達成しました。ほとんどのバッターがこの記録の前に力尽きたり、それでも記録を意識するあまり、レギュラーを外れても年々細々と安打を重ね、やっと到達する人が多い中で、坂本はたった31歳でこのメルクマールに達しました。プロ野球史上で2番目の最年少達成者だとか。すごいです。小生、巨人は嫌いなんですが、坂本選手のこの偉業には拍手を送りたいと思います。

 一般に右バッターは左バッターに比べ、一塁まで2歩ほど余計に走らなければならないので、不利だと言われています。だから、イチローらのように右利きの人でもバッティングは左という選手が多いんですね。でも、坂本は右にこだわりました。右バッターで、なおかつずば抜けて足が速いわけでもないのに、安打を重ねてきたのは、素晴らしいバッティング技術を持っているからでしょう。素人の小生が見ていても、肘を折りたたんで内角の球を打つ技術が天下一品です。

 彼は2000本達成後のインタビューで、そう喜んでいるふうもなく、口には出さないが「こんなの当然。2000本は通過点」と言わんばかりの顔をしていました。今後、7年程度レギュラーを続け、毎年150本のヒットを打ち続ければ3000本は間違いなくクリアできるでしょう。視聴者の多くもそう感じたはずです。イチローの日米通算安打には及ばないものの、日本のプロ野球単独での張本勲さんの記録は抜くでしょうね。

 ただ、彼の守備位置ショートはカバー範囲が広く運動量や俊敏性が問われます。今後30代で徐々に”老化”する中で、パフォーマンス力に陰りが出てくるのは避けられない。となると、巨人軍フロントは、彼の打力を重視するなら、同じ内野でも運動量の少ないファーストなどへのコンバートも考えなくてはならないと思います。まあ、彼は将来の監督候補、優秀な生え抜きの選手なのですから、捕手からファーストに移った阿部慎之助のように、当然そういう配慮がなされると思います。

 ところで、バッターの名球会入りの条件となる2000本安打達成は坂本選手で53人目とか。投手の名球会200勝達成の24人に比べて随分多いです。バッターの方は毎年のように名球会入りが出ますが、投手は2016年に達成した黒田博樹以後出ていない。その前の達成は2008年の山本昌と随分間が空いています。現役で一番勝ち星を挙げているヤクルトの石川雅規は今年40歳で173勝。彼が今後27勝上げるのはなかなか難しい。となると、ピッチャーで当分名球会入りは出てこないということです。

 よくよく思うに、バッターの安打数は個人記録なので、チームが勝っても負けても累計されます。しかし、ピッチャーはどんなに良いピッチングをしていても、バッターが点を取らなくては勝ち星にはならない。逆に、どんなに点を取られても、バッターがそれ以上取り返せば、勝ち投手になる。つまり、「勝ち投手」というスタンスは、相手投手との相対的なもの、個人記録でなくチ―ムの記録に過ぎないということです。それに、先発、中継ぎ、抑えと分業体制が主流になった現在、一人のピッチャーが勝ち星を積み上げるのはなかなか難しいでしょう。

 ですから、ピッチャーの勝ち星200勝を名球会入りの条件にするのはおかしいと思います。防御率奪三振数がピッチャーの本当の個人記録ではありませんか。勝ち星は120勝くらいを一応の条件としながらも、その上で規定投球回数をクリアした選手のトータル防御率が考慮されるべきです。

 上の写真は、箱根の彫刻の森美術館の屋外展示物と小生。11月下旬の連休中に小、中学校時代の仲間と温泉に行ったついでに覗いてきました。