つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

自民党は今のロシアより許せない存在か!?

 憲法記念日の一昨日、フジBSのプライムニュースに各党代表が登場、憲法改正についての見解を発表していました。この中で、立憲民主党奥野総一郎という衆院議員が反改憲の集会で、「ロシアより許せないのが今の与党(自民党)…どさくさに紛れて改憲を図ろうとしている」と発言したことが取り上げられ、当人も出演し、発言の真意を聞かれていました。本人はさすがに自民党とロシアを比較し、なおかつロシアより悪いと言ったことを反省している様子でした。同席した自民党新藤義孝議員は怒るのかと思ったら、意外にも「支持団体の集会なので、口が滑ったのでしょう」と大人の対応だったので驚きました。

 この奥野なる議員、どんな人かと思って調べたところ、小生の郷里千葉県の第9区(千葉市若葉区、佐倉、四街道、八街各市)選出の議員で、もともと他県人。東大法卒、郵政官僚を経て千葉に落下傘で降りてきた人。これまでの小選挙区でずっと自民党議員に負け、2位で比例復活当選してきた人でしたが、昨年秋の選挙では、それまで出馬していた共産党が取り止めたため、自民、立憲の一騎打ちとなり、小選挙区で競り勝ったのでした。ですから、共産党に恩義を感じ、迎合する姿勢を見せるのは少しは分かる気がします。

 元官僚ですから、当然憲法、国際政治も学んでいることと思われるので、安全保障論が分からない人でもないし、改憲反対は彼本来の信念ではない感じがします。また、反改憲の集会に行けば、迎合した発言をするのは仕方ないことだと思いますが、テレビでの表情を見る限り、まざまざと「集会では心にもないことを言ってしまった」と思わせるような顔つきでした。つまり、自らの信念に添って議員活動をしていない人。これは悲しいことですし、軽蔑します。当該選挙区民も、この議員を続けさせていいのか考えなくてはならないと思います。

 同時に出ていた共産党参院議員はやはり「自民党はどさくさ紛れで改憲を急いでいる」とか「軍事対軍事の姿勢では駄目。外交を通して外国との交渉を進めなければ」みたいなことを言っていました。これは個人の意見でなく、政党の見解ですが、相変わらずのデタラメな論理立てだなとしみじみ思いました。外交っていっているけど、では聞くが、ウクライナは今、ロシアとの外交交渉でうまくいっているのか。外交で戦争は止めさせられるのか。共産党も頭のいい人が多いと思うけど、本当に話し合いだけで物事が解決すると思っているのか。いや外交の後ろにある力関係、つまり軍事力の均衡を全く考えなくていいいのか。

 プロイセンの軍人クラウゼヴィッツは「戦争論」という名著の中で、「戦争は外交の延長線上にある」と言っています。つまり、戦争する覚悟、最後は戦う気概がないと外交、話し合いは成り立たないということです。端的に言いましょう。あなたがやせて背の低い人だとします。街中でやくざみたいな大柄な人と肩がぶつかり、相手の方が悪い場合、「お前なんだ。謝れ」と言えますか。たいがいは黙ってしまうでしょう。つまり国際間でも、相手に迎合するような、遠慮するような宥和的な外交なら成り立ちますが、軍事バランスが違えば、力のない方は言いたいことも言えないのです。

 外交って、話し合いってそういうものです。外交の背後に軍事力がなければ、対等の話し合いなどできないのです。国内ではまだ最後に警察や裁判に頼ることができるけど、国際社会は無秩序、アナーキーな状態で、力が支配する社会なのです。今、ロシアがあれだけ虐殺、人殺しをしても、国連事務総長を含めて誰も止めることができない、止める手立てがないのです。それで、「外交交渉でお願いします」っていうことが成り立つのですかと、共産党に聞きたい。軍事には軍事で対抗するぞ、俺も報復力を持っているよという姿勢を見せない限り、相手は話し合いに応じませんよ。

 共産党が本当に軍事力均衡の発想がないとしたら、悲しい。何度も言っているけど、もっとかつてのトップ宮本顕治に学んで欲しい。彼は「米国との軍事同盟など要らない。独自で安全を図るべきだ」と言っていました。まさにその通りです、「非武装中立論」などは、消えゆく社民党に任せておけばいい。共産党はそれなりの支持者がいるのですから、しっかりとした安全保障論を示して欲しい。

 上の写真は夕暮れ迫る横浜中華街。