つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

上海のコロナ都市封鎖は現代の「チャーズ」だ

 上海って、もう都市の完全封鎖を1カ月やっているけど、今でも毎日1万人以上の感染者が出ているようです。毎度テレビニュースなどを見ても分かる通り、住民はアパートから出られず、街には人影が見られない。ということは街中で濃厚接触などあるわけないのに、どうして感染者が出るのか不思議でならないです。ゼロコロナ対策をしても、効果は薄い感じです。100歩譲って住宅封鎖も一つの手なのでしょうが、人民にも生活があるのに、食料調達まで抑え込んでいるのはいかがなものか。恐らく餓死者も出ているはず。これでは、終戦後に旧満州新京(長春)市であったチャーズ(卡子)事件を思い出してしまいます。

 都市封鎖をしているのになんで相当数の感染者が出るのか。恐らく、夜間などにひそかに住宅から街中に出ているヤツがいるのでしょう。蛇の道はヘビ、上の政策あれば、下には対策ありです。アパート住人同士の行き来は自由にできるわけですから、一人が外で感染してウイルスをアパートに持ち込めば、即アパート住民全体が感染してしまいます。中国はもともと衛生観念が低いので、マスク着用を嫌うし、料理専用の取り箸(公筷)とか、トイレの消毒液とかはないので、感染の素地は日本と違ってかなり多くあり、感染の可能性が高い。

 それから、海外メディアが指摘しているのですが、中国製ワクチンの効力がファイザーやモデルナなどに比べてかなり低いこと。中国製のシノファーム、シノバックは一昨年、どの国よりも早く製造されたということで、中国政府はこれを発展途上国などに無償でばらまき、言わば外交的な篭絡の手段としても使ったほどでした。インドネシアのジョコ大統領やトルコのエルドアン大統領らも中国製を接種していたとか。まあ、ジョコにしろエルドアンにしろ、効果を感じなければまたすぐに打ち直せばいいことですが、一般中国人(老百姓)はそうはいきません。

 海外華文ニュースによれば、中国の金持ちは「国内のワクチンは効かない」と決めつけており、海外に出て外国製の接種を受けたいが、今は海外に出るどころか、家からも出られないので困っているとのこと。ただ、仕事で海外に出ているビジネスマンは欧米系のワクチンを接種しているそうです。当初、中国製を導入した発展途上国も、欧米製のワクチンがかなり普及するようになったことで、改めてそちらに切り替えている国もあると言います。そう言えば、最近、発展途上国から中国に向かって「ワクチンをください」というメッセージは出されていないようです。

 いずれにしても、ゼロコロナ政策による過度の封鎖は人民の反発を呼ぶだけのようです。持病を持っている人は薬も取りに行けないし、急病になっても救急車が来ないので、住宅内で死亡する人も多くなっている。いや、満足に食料が入手できないので、餓死者も出ている由。薬が切れて痛みが増した人や餓死寸前の人が耐え切れず、飛び降りたり、首つり自殺を図っている。イライラを募らせたアパート住民が外にいる警官と衝突する場面も。こうした光景はネットでも拡散しています。

 共産党が昔、満州を解放したあと、長春に国民党軍が残っていたので、この町を完全包囲し、外との出入りを遮断しました。国民党を懲らしめるための作戦ですが、困ったのはむしろこの都市の住民。食料不足に陥り、大量の餓死者が出たようです。この話は遠藤誉先生の「チャーズ」という本や山崎豊子女史の小説「大地の子」にも出てきます。つまり、都市封鎖というのはチャーズの現代版。目的のために手段を選ばない、住民の命と生活など微塵も考えない、共産党が繰り出す常套作戦でもあるということです。今、その犠牲になる上海市民に同情して余りあります。

 上の写真は、グーグルのピンタレストから取ったワンちゃんたち。おんぶされた子犬が特に可愛い。