つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

大坂なおみ、もっと日本語うまくなって

 20日行われたラグビー・ワールドカップの日本-ロシア戦は、見ていて楽しかった。地元開幕で、しかも初戦であるから、やはり全体の盛り上げのために、ぜひ日本に勝ってほしいと思っていましたが、まあ、日本は世界ランキング10位なのに対し、ロシアは20位ですから順当勝ちとなりました。良かった、良かったという感じです。でも一次グループで残るのはアイルランドスコットランドサモアと難敵ばかり。決勝トーナメント進出にはもうひと踏ん張りが必要です。

 ラグビーを知っている人には釈迦に説法ですが、ラグビーの攻め方はスクラムハーフ(SH)とスタンドオフ(SO)で決まります。特に、スクラムやモールから出されたボールをSHが拾い、それをSOに渡された時に、SOは瞬時に攻撃方法を選択しなくてはなりません。横に並んだバックスラインにパスするか、蹴ってハイパントにするか、バックスの足に期待して軽く前に蹴りだすか、あるいはフルバックに渡して外に蹴りだし、陣地の回復を図るか。その点では、SOはチームの司令塔であり、試合全体をリードするキーパーソンです。

 ロシア戦で司令塔になった田村優はやはり名前の通り優れた選手でした。この日、ウィングの松島幸太朗の走りが素晴らしいと見極めると、次々にバックスラインに球回しし、再三のトライを演出しました。いや、松島の走力を見極めたばかりでなく、相手陣の防御ラインの弱さを見極めたのかも知れません。ハットトリックの松島ががぜん注目されましたが、やはり田村の試合構成力、さらには40メートルのペナルティーキック成功を含めて彼の力が光っていたと思います。

 ド素人のラグビー解説はこの辺にして、松島選手について。父親がジンバブエ人、母親が日本人とのことで、インタビューを受けたときの彼の言葉はほとんど普通の日本人と変わらなかった。恐らく日本で学校教育を受け、日本で育ったのだと推察されます。その点では、バスケットの八村塁、陸上競技室伏広治、サニー・ブラウン、ケンブリッジ飛鳥プロ野球オコエ瑠偉ダルビッシュ有らのハーフと一緒です。アフリカ系の人であれば、見た目は若干違和感はありますが、きれいな日本語を話すと、ああ、やはり日本人なんだなとうれしくなってしまいます。

 それに比べて、テニスの大坂なおみ。名前こそ日本的ですが、米国育ちのせいで日本語がイマイチ。いや、イマイチどころかイマサン、イマヨンくらいかも知れません。日本以外での試合ならともかく、生まれ故郷の大阪での試合であるのに、勝利インタビューが英語でのやり取りとはいただけません。日本人の母親はなぜもっと娘に日本語を教えなかったのか、残念です。サーフボードの五十嵐カノアは、カリフォルニア育ちだそうですが、結構立派な日本語を話していました。

 言葉こそ共通性を感じる手段はありません。一見、外国人の顔をしていても、かなり流暢に日本語をしゃべると、すぐに仲間意識を感じてしまいます。日本国内で、同じ地方出身者が同じ方言を話すことで特に親しみを感じることと似ています。ラグビーWCで日本チームの主将をしているリーチ・マイケルはニュージーランド出身ですが、高校時代から日本に留学しており、かなり流暢に日本語を話します。その上、日本のために戦ってくれているのを見るにつけ、彼に格別の親しみを感じるのは当然でしょうね。

 話をふたたび好きなラグビーに戻します。日本の次の相手は世界ランキング1位のアイルランドです。この国のチームのSOが優れているそうで、ロシア戦から日本の強み、弱点を見出したことでしょう。松島は徹底的にマークされるに違いありません。そして相手SOはハイパントを多用するのじゃないか。高さを生かされた試合展開だと、日本はやはり苦戦するだろうと心配しています。

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 上の写真は、初台にある新国立劇場近くの風景。面白いモニュメントがありました。新国立劇場で、日本人の歌手、演奏によるプッチーニの歌劇「トスカ」を見てきました。


 

舞の海と炎鵬、小兵でも攻め方に違いがあるんだ

 先日、大相撲秋場所中継にスイッチオンしたら、ちょうど十両と中入りの取組間のブレーク中で、解説者の舞の海宮城野部屋の炎鵬を訪れ、対談したところを流していました。かつてと今の小兵力士同士を対談させるなど、なんと粋なことをやるものかと、NHKの企画に感心しました。で、話を聞いてみて、実に面白かったです。技術論が主だったのですが、一概に小兵と言っても、人それぞれで、技のかけ方も違うんですね。

 舞の海も炎鵬も基本的には左四つなのですが、大男とがっぷり四つに組んでも勝ち目はない。そこで、相手の懐に潜り込み、左下手を取って食い下がる。右側は胸を合わせないように半身(はんみ)になるのは共通です。でも、そのあとに2人の違いが出ます。舞の海が言うには、彼は左手を深く差して、タテミツかさらにその先のマワシを取り、体を相手の腰に密着させ、下手投げを狙う。でも、いつも下手投げでは相手は警戒し、重心を後ろに移すから、逆に切り返しのような形で後ろに倒すこともあったようです。

 一方、炎鵬は、左下手を取っても深く差さないで、むしろ前みつを取る感じ。体は密着させないと言うのです。相手の体との間を開けておけば、右手を相手の手か腕に絡ませ、ひねり(相手を前にねじ曲げる形)を繰り出すこともできる。下手投げを打つふりをしてひねったら、確かに相手は崩れやすい。つまり、2人の小兵力士の違いは、舞の海は相手を前後に揺さぶるタイプだが、炎鵬はどちらかというと左右に揺さぶるという技のかけ方なんですね。

 それから、小生の昔の印象で言えば、舞の海は足技が巧みで、よく外掛け、内掛けを繰り出していました。一方、炎鵬は足技より、手で相手の足を取る小股すくいとか、足取りのような技を多用しているように思います。これって、同じ小兵ながら、身長170センチ以上で体重も100キロ以上あった舞の海と、160センチ台で100キロ未満の炎鵬との微妙な「がたい」の違いなのでしょうか。

 いずれにせよ、テレビの中で、小兵2人が実際に組み合い、「僕はこういう四つの取り方をしていた」などと説明し合っていたのは、実にほほえましかったし、楽しかった。炎鵬は投げの打ち方などで舞の海のビデオを見て参考にしたいみたいなことを言っていたけど、確かに、投げはタイミング、体の開き、腕の使い方など奥が深い。技術論なんて興味ないと言う視聴者はいるのかも知れないが、小生は舞の海ー炎鵬対談が今後大相撲を見る上で大いに参考になったので、こういう企画はぜひ続けて欲しいと思っています。

 例えば、土俵際の裁きがいい、立ち合いに変化をする、吊り寄りが得意、肩透かしがうまい、押しや突きが専門であるといった力士同士がその極意を語り合ったりしたら、どうでしょうか、受けると思います。ゼーゼーハーハーしながらで、ほとんど内容のない勝利者インタビューや、新十両、新入幕者のインタビューなどよりも、よほど見たくなるコーナーです。

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 上の写真は、9月初め、五反田のROCビルで行われた展示会の風景。

韓国民の対日感情は性悪女の「反動形成」か

 もし、ある男Aがある女性Bを好きになったら、AはBが自分にどれだけ関心があって、好意を抱いているかどうか、そして自分のどんなことを好ましく思い、逆に嫌なところはどこなんだんろうと気になって仕方ない。でも、AがBに何の関心がない場合、BがAをどう思おうがまったく気にかけないでしょう。それでも、「Bはお前のこと、嫌いだと言っているぞ」などという声が他所から入ってきたら、どうでもいいやと思う半面、いささかのうっとうしさは感じます。

 ほとんどの日本人は日韓関係などどうでも良いと思っているし、できれば関わりたくないとの感覚でしょう。特別仲良くしたいとは思わないけど、特別毛嫌いするつもりもない。まあ、会えば「こんちわ」と声をかけるくらいの”並み”の関係であれば結構という感じです。それなのに、韓国側はそういう関係になれず、日本だけを特別視、これでもかこれでもとばかり、反日の矢を放ってくるのです。不思議でなりません。

 釜山市などは日本製品を使用しないということを市の条例で決議したとのこと。こんなこといちいち決議しなくとも、個人個人が嫌なら勝手に使わないで済む話なんですが、わざわざ決議をし、宣伝するのは異常としか言えません。ある女性Bが,Bを何とも思っていない男性Aに対し、「あなたなんて嫌いよ。そば寄らないで」と言っているにも等しい。自分が素晴らしい女性、本来近寄ってきてもいいのに、なぜか寄ってこないことに怒っている、誇大妄想的な行動とも思えます。

 韓国はまた、「福島原発事故があって、食品も汚染されている国でどうしてオリンピックが開かれるんだ」などとケチをつけ、挙句に、こちらが参加するとしたら、選手村で出される食品は福島から来ていないことを証明してほしいなどと要求するのです。ばかばかしくて開いた口がふさがらない。原発事故以降、何百万人という韓国人が日本に観光に来ているけど、彼らは日本のホテルで食べる料理、買う食品をいちいち福島原産かどうかなどとチェックしただろうか。政府は彼らに何らのか注意をしてきたのか。そんなことはなかったでしょう。

 であれば、今さらオリンピックを原発事故に絡ませる発言は嫌がらせ以外の何ものでもありません。韓国側がそんなケチをつけるのなら、日本側としては、「参加したくなければ、そちらの自由。ご勝手にどうぞ」となります。でも、この国の異常なところは、自国の不参加だけでは日本に与えるインパクトが十分でないと見たのか、アジア、アフリカの諸国に対し「日本は放射能汚染されているぞ、オリンピックに行くな」などと仲間を誘っていることです。この性悪さ、卑屈さは何なんだ。

 でもよくよく分析するに、この異常さは単に性悪さで理解できるものではない。結局、なんだかんだ言って、日本好きの裏返しなんじゃないのかと思えてならないのです。女性Bが好ましく思う男性Aの気を引こうと、わざとAの前で目立つ行動を取る、嫌がる行動を取る。そういうのって、心理学では「反動形成」などと言われていますが、どうやらその範疇の行動では。実は、韓国民は日本が気になって仕方ない、好きで仕方ない、それなのに十分に相手にされていない、それが不満だ、という心理状態にあるのではないでしょうか。

 反動形成であっても、こちらは対韓関係などまったく気にかけていないので、どうでも良い。せめて街ですれ違う人同士の何の感情もない、好意もないし、悪意も敵意もない、そういう形で接してほしいなと思うのですが、、。

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 上の写真は、三軒茶屋にあるキャロットタワー26階展望台から見た日没の風景。左手にかすかに武蔵丘陵が見えるのが印象的。 

進次郎氏は将来を真剣に考え始めたようだ

 別段、自慢するわけではありませんが、小生は2回前の当ブログで、「重要ポストではないだろうが、小泉進次郎氏の入閣はあるかも」と書きましたが、当たってしまいました。まあ、マクロン仏大統領などが現在の最重要課題とする環境行政、そのトップたる環境相を重要ポストでないと言ってしまっていいのかどうかは別にして、前大臣の原田義昭氏の地味さを見る限り、日本ではそんな扱いを感じさせてきました。それはともかく、進次郎氏入閣の見立ては当てずっぽうでなく、実は小生の記者経験からのそれなりの分析、判断です。

 進次郎氏がこれまで2回の総裁選で石破茂に投票したことを、安倍が不快に思っていたことは事実。また、巷間では、30歳代の若さであるにもかかわらず注目度抜群で、次期総理期待が高いことに、いささかの嫉妬を感じていたことも間違いないでしょう。ですから、安倍は政権の座にある限り、自らのほかに目立つ存在など要らない、ことさら遠ざけるだろうというのが、永田町の普通の認識です。ただこれは、ずっぽり永田町にはまった政権寄り記者の見方。ちょっと遠くから眺めると、別の風景も見えてきます。

 進次郎氏の”変化”を最初に感じたのは、結婚報告のために菅義偉官房長官を官邸に訪ね、そのまま総理にも会って直接報告したこと。安倍―進次郎の細かなやり取りまで逐一報道されました。この時点で、小生は、総裁選以降わだかまっていた両氏の和解はできたのかなと見ました。ある報道番組によれば、昨年秋以降、つまり総裁選のあと、進次郎氏は石破寄りから離れ、安倍氏を持ち上げるような発言をしてきたと報じています。微妙にスタンスを変えてきていることに、安倍氏も好感したのでしょう。

 安倍氏が総理任期の最後の2年間、懸案の憲法改正に重点的に取り組むなら、内閣の発信力は必要です。その面では人気度の高い進次郎氏を閣僚に取り込むのは安倍氏にとってはベターな選択です。もともと安倍氏は、父親の小泉純一郎氏によって官房副長官、党幹事長などと引き上げられてきた政治家。であれば、また、息子に恩返しするのは極自然な成り行きです。そして、進次郎氏入閣をリードしたのは恐らく菅義偉官房長官でしょう。安倍氏が菅氏の力量を知るなら、彼が推薦する進次郎氏を拒否などできません。

 では、菅氏はなぜ進次郎氏を推薦するのか。進次郎氏とは同じ神奈川県選出で懇意にしており、関係も良い。そこで菅氏は、安倍氏との和解、閣僚ポストの仲介で恩を売り、進次郎氏を自派に取り込み、その人気に便乗することを考えたのではないでしょうか。あるいは、進次郎氏に「安倍の次は菅」と思わせ、そう言わしめることも意図しているのかも知れない。菅氏自身は「総理なんて少しも考えていない」などと言うけど、それは嘘。彼にとって進次郎―安倍の取り持ちによって、自らの政治力を膨らませるという大きな野心があったのです。

 進次郎氏とっても、将来総理狙いなら、事前に複数の閣僚経験は絶対必要であるし、特に30歳台の経験は願ってもないこと。また進次郎氏にとって、菅氏との協力関係は大いなるプラス以外の何物でもない。菅氏が何かの”突然変異”で総理になったとしたら、良好な関係からそのまま重要ポストを歴任できる。それより可能性が高いのは再来年秋の総裁選に自らが出馬することですが、行政機構を掌握している菅氏が参謀役として全面的にバックアップしてくれれば、鬼に金棒ということでしょう。

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 上の写真は、小生自宅近くの野毛山公園の風景。先日の台風15号は横浜付近を通ったため、大木が折れてしまいました。

食堂で鼻をかむのはそんなに不快感与えるか

 かなり前、大好きな「餃子の王将」店で、珍しく餃子のほかにタンメンを注文し、食べていたところ、鼻水が出そうになったので、持参のティッシュで鼻をかみました。汁ものの熱いやつを食べると、鼻水がズルズルしてくるのは老人性なのか、ほとんど習い性になりました。それは良いのですが、その王将で「チーン」と音を立てて鼻をかんだところ、カウンターの隣にいた男が、「そんな汚いことをするなら、トイレ行ったやれよ」と注意してきたのです。

 小生はそのとき、ほう、こんなことでも気にする奴がいるんだと驚きましたが、音の大小はともかく、他人が”わざわざ”クレームを付けた以上、不快感を与えていることは事実なのでしょうから、その時は「あ、すみません」と素直に謝りました。でも、後から振り返って、食堂で鼻をかむのが一般的にそんなにおかしなことで、常識的には許されないことか、避けなければならないことか、ちょっと考え込んでしまいました。

 そこで、極めて常識人の内人にその是非を聞くと、「その程度は許容範囲ではないか」と言うのです。自身の心の内では、まだ結論は出ませんが、その後、食堂、レストランなどで鼻をかむときは、なるべく傍の人に不快感を与えないように音を低めています。でも、鼻をかむのもくしゃみをする時と一緒で、大きな音を立てないと爽快感が生まれません。何か、大好きな食べ物を食べ残すような、推理ドラマの視聴を途中で止めるような、好ましい夢の途中で起きてしまうような、小便が出きらないような、ちょっとむしゃくしゃした気持ちにさせられます。

 常識というものは、各人がそれなりの尺度を持っていて、若干の差があるのは致し方ないと思います。満員電車の中で、座っている人間が足を組んだり、投げ出していたりしたら、顰蹙ものでしょう。でも、座席に空席があるほどすいている電車の中で、そういうポーズを取るのは問題ないんじゃないか。と小生は思い、よくやっています。また、小生は酒を呑むと、足に熱を持つので、飲み屋などでは靴下を脱いでしまいます。それは食卓の下でひそかにやる行為なので、同席者には見られないから、まあ、足の臭いを出さない限り、許されるのかも知れません。

 問題は電車の中。向かい座席や隣座席に他人がいる時に靴下は脱げないので、靴からひそかに足を外し、つま先立ちの状態にするか、たまに靴下のまま靴の上に載せたりします。靴で足が締め付けられ、熱を帯びてくるとじんじんするので、ついついやってしまいます。西洋人は、公の場所で靴を脱ぐのを非常識とみなすらしいのですが、下駄と草履文化の日本人はどう見るのか。やはり、品の良くない行為とするんでしょうね。でも、靴脱ぎによる涼しい気分には勝てないのです。

 電車と言えば、最近、親が子供に外の景色を見せる時に子供の靴を脱がせないまま、座席に立たせているケースを見かけます。小生は子供の時に必ず母親から靴を脱がされた記憶があるので、ちょっと気になります。確かに、いちいち子供の靴を着脱させるのは面倒ですから、親の気持ちも分かります。中国で見掛けた風景としては、子供は当たり前のように靴のまま座席に上がっていました。中国の電車の座席は金属製で、日本のように布地ではありませんが、次に座る人は気分がよくないと思います。

 中国の”常識”の話をすれば、切りがありません。電車の中では連結器付近で子供に小便をさせるのは普通だし、道路では言わずもがな。かつて香港の人通りの多いモンコックという商店街の側溝で、大陸から来た母親が子供にうんこをさせていて問題になったことがありました。中国では子供に股割れパンツを履かせているので、大小便は”常在戦場”の構え。ですから、少なくとも子供に関してはトイレの設備は要らないということなんでしょう。中国、香港暮らしでこういうのを見てきた小生も、いささか大陸的になり、日本人の一般常識よりは”いささか”拡大解釈が多いのかも知れません。

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 上の写真は、横浜みなとみらい地区のレンガビル前広場。闊歩しているのは、恰好からして中国人女性ではなかろうか。 

 

 

米国がアフガン・タリバンを交渉相手にする理由

 テーマが偏りがちで申し訳ないのですが、またまた国際情勢に言及します。小生が最近注目している動きが米国とアフガニスタンタリバンとの和平協議です。2001年9月11日の米国東部同時多発テロを実行したのは、オサマ・ビン・ラディンが率いていたアルカイダという過激派武装集団。ですが、時のブッシュ・ジュニア米政権はイスラム過激派武装集団はどこも一緒だとばかりにアフガン・タリバンも報復の的とし、9・11のあと間髪を入れずアフガンに攻め入りました。

 タリバンと言えば、あの中東でもまれな大型仏教遺跡「バーミアン」を爆破する前代未聞の暴挙をした集団です。歴史的、文化的な価値をみじんも考えない愚か者。一時期アフガンを支配していた時代、子供に教育を受けさせない、女性を外に出させない、そんなルールを作っていた野蛮な連中。米国がよく話し合いの相手にしたものです。驚き、呆れてしまいました。交渉するとは、相手の存在を認め、そして、これからもアフガン国内で一定の勢力を保つことを了承したということですが、戦争までして毛嫌い、対立関係にあったタリバンを米国はなぜ取り込もうとしたのか。

 最近の米国の世界戦略をよく見ると、この動きはおぼろげながら分かってきます。米国はもう”世界の警察官”にはならない、できることなら永遠に混乱が続くと見られる中東地域への介入は避けたい、ユダヤイスラエルイスラムの中東諸国との対立への介入ならまだしも、スンニ派シーア派というイスラム国同士の宗派闘争には関与したくないし、過激派集団のテロ行為もイスラム国内でやるなら勝手にやってくれといったスタンスになった感じがします。

 米国がタリバンを取り込んだもう一つの理由は、中国包囲網を作り上げることです。ほとんどの人に知られていないのですが、アフガニスタンはワハン回廊という細長い陸地を通じて中国と国境を接しています。どの大国もそうですが、自らの周辺国の国内では混乱があった方がいいと思っている、その方が大国の影響力が行き渡るし、自らへの脅威もない。つまり、中国は隣国アフガニスタン国内の混乱は好都合、混乱を引き起こす過激派集団の存在は大歓迎でしょう。

 逆に、米国にとっては、アフガニスタンは政治的な統合を果たしてもらった方がいい。アフガン政府がタリバンを一つの政治勢力と認めて国内が収まれば、それまで内に向いていた力は今度は外に向かうから。今、中国新疆ウイグル自治区では、イスラム教徒への再教育という名目で、多くのウイグル人少数民族が「集中キャンプ」に強制収容されています。アフガン国内が収まれば、過激派集団を含めたそこのイスラム教徒は、宗教上の仲間を助ける意味で、今度はそちらの方に関心を向けるかも知れません。

 米国は今、世界戦略の最優先課題として中国の包囲網を作る、そのために周辺国の政治的混乱をなくし、社会秩序を保つことに腐心しているように感じられます。という符牒で見ると、米国は中央アジアにしろ、朝鮮半島にしろ、インドシナ半島にしろ混乱があるのを歓迎しない。朝鮮半島でも、米国は南北の対立を望んでいないのでしょう。文在寅が望むなら、刈り上げ頭の独裁者が支配する朝鮮半島でも、認めようというスタンスではないのか。再三書いているように、統一朝鮮国の方が中国に対する圧力は増しますから。

 という視点で見ると、中国は統一朝鮮国の成立など論外でしょう。もし、統一朝鮮国が米寄りになったら、米国の影響力は鴨緑江を挟んで中国の対岸に及びます。それはそれで中国の共産党一党支配体制にひびが入ります。中国にとって北朝鮮という地理的なバッファーゾーンがあった方がいいのです。ですから最近、北朝鮮に外相を派遣、金正恩にしばしば接触させているのは、金正恩に対し米側の目論む「統一朝鮮国」構想に乗らないよう説得しているのだと思います。

 実は、日本にとっても、中国と逆の形ながらまったく同じ意味で、統一朝鮮国は望ましくないシナリオです。中国、ロシアという大国の政治的圧力を朝鮮半島の38度線で防御していただいていたのですから。国際情勢が分かる人は、日本の安全保障に絡めてずっと38度線の意義を理解してきました。それが、統一朝鮮国となれば、防御線の存在がなくなるばかりか、反日の統一朝鮮国の圧力が対馬海峡まで及びます。恐らく中国に対しても強く出るでしょうが、日本に対してはもっと強く出てくるはずです。日本にとって好ましい状況であるわけがありません。

 

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 上の写真は、横浜・みなとみらい地区の運河を挟んでランドマークタワーを望む景色。

次期総理期待度29%の進次郎氏に入閣はあるのか

 今日の日経新聞朝刊に政治状況に関する世論調査結果が出ていました。安倍内閣の支持率58%で、前回(今年5月実施)より6ポイントも上昇したとのことですが、今現在、国会も開いておらず、何の懸案もない時に急上昇するのはちょっと異常な感じがします。強いて理由を挙げるとすれば、貿易上で韓国のホワイト国扱いを止めたこと、それによって韓国側が感情的な日本攻撃に出ても、安倍政権は毅然とした態度を示していることが好感されたということなんでしょうか。まあ、それはそれで結構な結果だと思います。

 この世論調査では「次の総理にふさわしいのは誰か」との質問項目もありまして、驚いてしまうのは、そのナンバーワンに挙がったのが小泉進次郎だったこと。前回の23%から6ポイントアップして29%の支持率です。彼がこの間、特別に政治的な功績を上げたわけでもない。考えられるのは、著名な美人フリーアナウンサー電撃結婚し、ワイドショーなどで多く取り上げられ、露出度が高かったことだけです。

 という視点で見れば、これは多分にミーハー的反応、ある意味「ご祝儀相場」であるのかも知れません。ですが、ほぼ3割の支持でナンバーワンであることは尋常でありません。やはり世間の期待度は”半端ない”ことを示しています。さあ、所帯を持って身を固めたのだから、これからは一直線に政治家として磨きをかけ、総理へ向けて精進してくれという思いがひしひしと伝わってきます。

 ちなみに、「ふさわしい次の総理」の第2位は安倍晋三の18%(前回23%)で、これは続投期待ということでしょう。3位は石破茂で13%(同11%)、4位は菅義偉で6%(同7%)、5位は河野太郎で6%(同4%)、6位は野党から枝野幸男の3%(同5%)。安倍後継で一番近いとされた岸田文雄はたった1%で、前回の3%から2ポイント後退。茂木敏充小渕優子と同じ数字でほぼ泡沫状態です。今夏の参院選応援で精彩を欠き、評判を落としたことが響いていますね。

 二階幹事長が盛んに安倍氏自民党総裁4選支持発言をしていますが、巷間にも結構、安倍総理の続投希望があることに驚いてしまいます。就任後、一連の国政選挙で勝ち続けてきた安倍氏に党内でも強い支持があることは承知していますが、彼はすでに通算で8年以上も総理の座にいます。日本には他に人材がいないのかとも見られますから、小生などはもう代わってもいいのではないかと思います。ただ、禅譲を期待している岸田氏も、安倍のアンチテーゼ的存在である石破氏も、残念ながら、もう終わった人かなと思いますし、知り合いの大手新聞論説委員に聞いてもそういう意見でした。

 次期総理は菅か進次郎を中心に展開されていくというのが大方の見方。2021年の次期総裁選のころには、進次郎氏は40歳になっているわけですから、マクロン仏大統領、トルドー加首相の就任時期を見れば、決して若い年齢でもない。反対に、菅氏は70歳の中ほどに差し掛かっているわけですから、年齢的に無理があると思います。政治は一寸先は闇ですから、2年先の総裁選の予想などだれもできないことですが、やはり今の人気度から言えば、進次郎氏が圧倒的に有利であろうと推察されます。

 ただ、論説委員氏によれば、進次郎氏はまだ閣僚経験がない、政治家としては実績がない、40歳そこそこの若造が、魑魅魍魎たる大所帯の自民党議員を掌握できるのか-と言うのです。やはり総理は60歳を過ぎてからがいい。かつて50歳台で総理になった田中角栄、第一次安倍、それから細川護熙などはいますが、いずれも長続きしていない。であれば、もっと「雑巾がけ」が必要ではないか-と言うのです。小生は多少違う見方をしていますが、敢えて彼の視点に同調するなら、あと10年くらいさまざまなポストを経験していくのもよろしいではないかと思います。

 とすると、来週にも行われる内閣改造で、進次郎氏が入閣できるのかが大きな焦点となります。30歳台で閣僚になったのはこれまで田中角栄小渕優子野田聖子らのケースがあります。世間でも進次郎入閣への期待があるでしょうし、安倍総理も彼を入閣させれば、新内閣への期待度を高め、内閣支持率を上げることができます。ただ、件の論説委員は、過去2回の総裁選で、進次郎氏はいずれも石破氏に投票したし、安倍氏との関係がそれほど良いわけではないので、総理は引き上げないのではないかと予想しています。小生は「重要ポストではないが、入閣はあり得る」と見ていますが、さてどうなるか、楽しみです。

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 上の写真は、小生の自宅近くにある百日紅の木。横浜にはなぜか百日紅の木が多く、街路樹にもなっています。