つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

20数年前を想起させる厠(かわや)

北京に住んでいた20数年前、中国は今の繁栄ぶりから想像もできないほど、貧しさが漂っていました。昨今の金、金、金がすべての中国を見ていると一面、あのときの方が良かったと思うことさえあります。
ただ、当時、地方に取材に行って面食ったのは、便所の現実です。中国でトイレの話をすると、話が尽きない、本も書けるというほどネタはふんだんにありますが、そのほとんどは汚い話なので止めときます。
ですが、今度、四川省を旅行してみて驚いたことに、農村でも意外に水洗が普及していました。もちろん簡易水洗。便所内に水道があって自分で蛇口をひねり、汚物を自分で流すというやつです。でも、下に…がうごめいていた20数年前のトイレ(というより厠)に比べれば、相当の進歩です。
ただ、今回の旅行で20数年前と変わらず存在した厠があったので、懐かしさのあまり写真を撮ってしまいました。四川省の山奥、小金県から馬尓康県に向かう途中、毛沢東ら紅軍中央軍幹部と紅第4方面軍の張国トウが会談を開いた両河口というところ。紅軍の会談場所近くでチベット族が経営する食堂で食事を取った際、行った厠がそれです。
厠の板がきちんと切ってなく、しかも紙などが引っかかっているところに、使い込んだ風情が感じられます。あまりにも懐かしくなって「大」までしようかと思いましたが、「小」にとどめておきました。