つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中国、共産党を天皇制となぞらえる

 毎月一回開催される東京財団後援の勉強会「アジア文化研究会」で、報告しました。報告はメンバー持ち回りの義務ですが、浅学菲才の小生が国際情勢に明るい碩学の先輩諸氏の前で話すのは、普段学生相手にしているのと違って大いに緊張しましたし、コメントをいただいて勉強にもなりました。
 今回のテーマは大胆にも、「中国は大国の道を歩むのか」というものです。どこから、話し出すのか迷いましたが、やはり2006年に中国でブームとなった「大国崛起(大国の台頭)」を取り上げました。ご存知でない方も多いと思いますので、説明しますと、15世紀から現代に至るまでの間、世界に覇を唱えた国家、ポルトガル、スペイン、オランダ、英国、フランス、ドイツ、日本、ロシア、米国の9カ国について、崛起するにはどういうファクターがあったのか、どういう経緯を辿ったのか、中国なりに分析したテレビドキュメンタリーで、このあと書籍にもなりました。もともと、党中央政治局が専門家を招いて部内で勉強会を開いた成果を形にしたものですので、今の中央指導部が何を考えているかを知る上で参考になる文献です。
 この中で、中国が最大の関心を示したのが、アジアで台頭した日本。幕末にどうして日本は西欧列強の植民地にならなかったのか、明治維新以降、日本がどうして近代化を図り、アジアに覇を唱える国にまでなったのかを多くのページを割いて詳細に分析しています。
 その日本の台頭について、中国は「富国強兵」と「文明開化」を高く評価しています。これは、中国が今、毎年の軍事費予算10%以上を計上し、改革・開放によって西側の資本や文化を受け折れていることにつながってきます。
 さらに、面白いことに中国は「絶対的権力である天皇の存在が国家の台頭に欠かせなかった」という表現で、天皇制を大いに評価しています。これは、中国共産党の存在を天皇制になぞらえ、同じように中国の台頭にはこの絶対権力が不可欠であると言っているように思えまてなりません。ただ、絶対権力の天皇制で軍事権は天皇直轄となり、結局、軍部が議会から離れて独走を続け、その結果、日本を破滅に追い込んだことに関しては、絶対権力との関係で分析していないのが画竜点睛を欠くところでしょうか。
 下の写真は、10月末、東京財団で開催された研究会で発表する小生。碩学の皆さんには多くのコメントをいただきましたが、紙面の関係上、その内容は割愛させていただきます。