つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

現実離れのジャーナリスト、鳥越氏

8月15日、NHKが終戦記念日特集で「戦後69年 いまニッポンの平和を考える」という討論番組を放映し、外務省OBの岡本行夫氏や毎日新聞0Bの鳥越俊太郎氏らが出演して、集団的自衛権の是非について議論していました。この中で、唖然としてしまったのは、鳥越俊太郎氏の日本国の周辺事情にまったく無知で(あるいは意識的にそう思い込んでいるのか)、「いったい今、どの国が日本を攻めてくるというのか」と語っていたことです。
 30年、40年前の冷戦時代には、社会党系の人が「非武装中立」を説明するために、そんなことを言っていた記憶があります。確かに、当時は、東欧をソ連が席巻して制限主権論が言われたり、中東や西アジアなどでも侵略被侵略の混乱がありましたが、幸いにも北東アジアでは、米軍の力が強くてソ連は手出しができず、中国もまだ軍事的に弱小であったため、「だれが攻めてくるのか」論も一定の説得力がありました。
 しかし、21世紀になって中国が軍事大国になり、南シナ海でフィリピンやベトナムの島を奪い、東シナ海では尖閣諸島周辺に毎日のように公船を出し、隙あれば同島占拠を狙っているのを見るにつけ、「どの国が攻めてくる」論など振り回す奴はいないと思っていました。ところが、いたんですね、現状度外視で旧態依然の論を持つ御仁が。
 ふだん、ワイドショーの芸能ニュースにしか興味を示さない感覚的”反戦”の主婦ならだませるかも知れませんが、世の中の事情が分かる大方はおかしいと思ったはずです。冷静に物事を判断すべきジャーナリストにしては、あまりにもお粗末。空想的理想論は聞いたら気持ちいいのですが、そんなことを現実の政治に持ち込まれたら、困るのは国民です。
 鳥越氏は、南シナ海のミスチーフ岩礁やスカボロー岩礁の占拠を中国の正当行為だと言うのでしょうか。尖閣諸島を奪われても、中国の固有の領土だから日本は文句が言えない、軍事的に対抗すべきでないとでも言うのでしょうか。彼はさまざまな戦争地を取材したなどと豪語していたけれど、領土、領海の支配被支配に善悪はなく、ただ力がものを言うだけ、隙があれば攻められ、奪われるという国際政治の基本がまったく分かっていないようです。
 鳥越氏はまた、クリミアの問題は旧ソ連邦内の話だから別、南シナ海は中国のシーレーンだから別などとのたまい、世界で問題となっている他地域の紛争を特別視、尖閣問題とは違うとの見方をしていました。これで「なるほど」と納得した視聴者はいなかったのではないでしょうか。詳しく論じれば長くなるので止めますが、とにかく彼の論はめちゃくちゃで、聞いていてただあきれるばかりでした。

 上の写真は、内モンゴル自治区シラムレン大草原の夜、打ち上げられた花火。