つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

尖閣への中国軍艦侵入は危ない兆候

 9日未明、中国の戦艦が尖閣諸島久場島周辺の接続海域に侵入してきました。南シナ海でもやっていることを東シナ海でもやり始めたわけで、いよいよ中国も覇権主義、拡張主義を恥も外聞もなく示してきています。日本の一大事です。相当の危機感を持ち、腹をくくっての対応で臨まないと、フィリピンがミスチーフ礁スカボロー礁を奪われたように中国侵略者の餌食になってしまうでしょう。
 中国の戦術は巧みです。フィリピンの岩礁侵入の時もそうでしたが、最初にちょろちょろと強気に出て相手の出方を窺います。そして相手がいい加減な対応をすると、その次はさらに強気に攻めてきます。今回も侵入時刻が真夜中で、まず手始めに領海の外12カイリにある接続海域だけに入りました。いきなり領海侵入となれば、日本側もさすがに対応せざるを得ず、場合によっては威嚇射撃などを受ける恐れもあることから、それは避けています。
 今回接続海域を侵入したところが、人も住める環境にあるメーンの島魚釣島でなく、そこから少し離れた久場島というのも意味深長です。久場島沖縄返還の前、米軍の射爆場となっていたところで、ここに手を出せば米側の対応も窺がえます。ですから、日米が協調してきちんと対応しないと、中国側は挑発行動を次々にエスカレートさせ、今度は軍艦を魚釣島の領海に入れて来ることになるでしょう。
 日本側はこれまで、自衛隊艦船を尖閣諸島周辺海域に入れると中国を刺激するということでずっと避けてきました。いや与那国島にレーダー基地を設置すること自体もためらっていたのです。それなのに中国の軍艦が先に周辺海域に来たとなると、これは現実問題として今、尖閣はどちらの実効支配なのだか分からなくなってしまいます。
 中国側のメディアでは、実は、中国海警の船が恒常的に尖閣海域に入っているのだから、日本の海保がいても日中は同スタンス、すでに尖閣は中国の”支配下”にあるとの見方もあります。ですから、自衛隊艦船がいないのに中国軍艦が遊弋したとなれば、むしろ一歩中国側が有利になるわけで、今度は積極的に「中国の領土」と喧伝するようになるのかも知れません。実質的にはそう言われても致し方ないのでしょう。
 これでも、日本は怒れないのでしょうか。小生の友人の中には、「尖閣諸島、何の脅威も感じていないけど」とまったく安全保障感覚にノー天気な人がいます。そういう人ほど「安倍は嫌いだ」「「戦争法案反対」などと叫んでいます。安全保障問題に無知で、本当に何も知らないのかも知れませんし、敢えて知ろうとしないのかも知れません。
 でも、それは怖い話です。こういう人がいると日本のマスコミで報道されれば、中国側はほくそ笑んで、次々と挑発行動を繰り出してくるでしょう。つまり、「戦争法案反対者」は間接的に中国の日本侵攻の手助けをしていることになるのかも。民意のない一党独裁の中国に対抗するためには、われわれはもっと領土、領海について一歩も譲らないというタフな姿勢を示し、すきを見せないことです。

 上の写真は、京都・伏見の寺田屋近くにある飲み屋店頭の置物。