つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

台比紛争では日本が調停に乗り出せ

 先般、台湾の漁船がフィリピンの沿岸警備艇から射撃を受け、漁民一人が死亡しました。これで台湾‐フィリピン関係が険悪になっています。せっかく、日本は台湾との間で尖閣諸島海域での漁業協定に調印し、台湾とのこれ以上の関係悪化を阻止できたのに、島嶼領有問題で中国と対抗しているフィリピンと台湾の仲が悪くなってしまったら、中国包囲網を敷こうとする日本にとっても大変具合が悪い状況です。
 尖閣諸島で侵略の脅威を受けている日本にとって大事なことは、中国と対抗している周辺国と共闘姿勢を見せ、中国を封じ込め、孤立化させることです。安倍政権はそのために、これまでロシア、モンゴル、ベトナム、フィリピン、インドネシアミャンマーなどと、ある時は首相自らが乗り込み、ある時は麻生財務相を派遣して、関係強化に努めてきました。
 こうしたことの積み重ねをすることで、中国が日本一国だけでなく、周辺各国とも領土問題で争っていることを喧伝できますし、「嫌われ者」「無茶をしている国」は日本でなく、中国なんだということを国際世論にに知らしめる効果があると思うのです。そして、尖閣問題で中国と台湾の共闘を避けるために台湾との漁業協定を結んだのもすばらしく、安倍外交はこれまでのところ順当でした。
 でも、今回、台湾とフィリピンがトラブルを起こしたことで、われわれの目指す包囲網にほころびが生じる可能性が出てきました。せっかく、台湾を大陸から引き離そうとしたのに、この紛争で再び台湾を大陸に追いやるかも知れません。というのは、台湾側に死者が出たことで、台湾住民は激怒し、もともと領土、領海問題で同一歩調を取っていた中国と組んで、フィリピンに軍事的な圧力をかけようと言い出す人が現れたのです。
 あるサイトに掲載された台湾当局の調査によれば、今回の事件後、「中台両岸で連携してフィリピンに対処せよ」と叫ぶ台湾人の比率が全体の66%もあったとのこと。反対に、対フィリピンで中台共闘反対と言う人は21%に過ぎなかったのです。これは日本にとっては大いに危険な兆候でしょう。せっかく譲歩した漁業協定の調印が無駄なものになる恐れが出てきたからです。
 そこで、小生は提案したいのですが、この台湾‐フィリピン紛争の調停に日本が真っ先に乗り出すべきではありませんか。対中国包囲網を大事にするのなら、そこまで考慮すべきです。外交は自国のことだけに努力するのではなく、自らと友好関係にある諸国間の関係安定化のためにも汗を流すことが必要だと思うのです。特に対中国関係で見た場合、台湾とフィリピンは、日本にとって重要なファクターであるのですから。
 下の写真は、銚子の犬吠埼灯台で出くわした銚子市海上保安庁のゆるきゃらと小生。