つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ジャッキーも中国も大人げない

 あの香港の有名なアクション俳優、ジャッキーチェンが4月18日、海南省ボーアオで開催された恒例のフォーラムで、中国共産党一党独裁に迎合するように、「中国人はやはり管理される必要がある。そうしないと台湾や香港のように混乱してしまう」と、驚きの発言をしました。映像を見ると、驚いたことに、ジャッキーの制約、束縛された方がいいという発言に対し、場内から拍手が起きていました。
 あれを見ていたら、中国もなんと情けない国、国民であるかと思わずにはいられませんでした。人間はやはり自由や人権があってこそ人間でしょう。自由と民主があって、投票によって政権を担う勢力を選ぶ方がいいのではありませんか。本心では、きっとそう思っているのに、表面的に共産党に迎合するジャッキーや、この発言に拍手する参加者にあきれてしまいます。
 なるほど、ジャッキーが例に挙げた香港や台湾のネットユーザーからは、「奴隷根性だ」「台湾を侮辱している」などと反発が出ているそうな。香港はすでに中国に支配されたとはいえ、市民はまだ正常な感覚を持っているようです。いずれにしても、2地区の市民にとっては、有名俳優で、中華圏の英雄だっただけにジャッキー発言は相当ショックだったでしょう。あんな人でも中国にゴマをすらないといけないのかと感じたに相違ありません。
 もっともジャッキーの立場に立てば、彼は彼なりの計算があるはずです。アクションスターに政治性は要らないし、へんな政治性を出してしまうと、得にはならないのを知っています。逆に、彼が「大陸に自由を」「6・4事件の名誉回復を」などと叫べば、大陸で彼の映画は上映されなくなってしまい、メリットはなにもない。香港という微妙な土地に住むジャッキーだけに、チベット仏教に帰依し、チベットの弾圧に抗議し続ける米俳優のリチャード・ギアのようにはなれないのです。
 ところで、ダライ・ラマ14世が成田の会見で、「中国は大人げない」という発言をしていましたが、なるほど、彼の存在を必要以上に危険視し、サルコジのように外国の指導者が彼と会うと、その国と絶縁するような行動を取る中国には、およそ大国の風格が感じられません。経済と軍事力で自信を持つならば、「たかがダライ・ラマごときが」とどうして思えないのでしょうか。小生にとっては、大好きな中国であるだけに、もっと風格のある国、指導部になってほしいと思うのです。
 下の写真の左側が、昨年、森ビルによって完工した上海・浦東地区にある国際環球金融中心の高層ビル。右側はそれ以前に建てられた金茂大厦。金融中心は、昨年来の金融危機の影響で、半分の部屋が埋まっていない状態です。