つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

多様なメディアの中での広告とは

 翻訳会社の同僚から勧められ、しかもご本人のものをお借りして「明日の広告」(アスキー新書)という本を読みました。クリエーティブ・ディレクターという肩書を持つ佐藤尚之氏、通称さとなおという広告会社の人が書いたものです。一言で言うと、広告とは何かを分かりやすく説明していたので、ど素人向けのハウツー本としては、大変分かりやすく、ためになりました。
 従来は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌を広告のツールと考えていれば、よかったのですが、1990年代以降、インターネットや携帯がはやり、その上、デジタル・サイネージなども街に氾濫しているのを見るに付け、小生にも、以上の4大ツールでは不十分であろうということが理解されるようになっていました。小生は記者のはしくれですから、メディアツールの変化には敏感です。その面では、早くからその変化に気づいた佐藤氏の慧眼には恐れ入ります。
 佐藤氏は、ネットに接した後、これを我がものにしようと、95年にはホームページなどを立ち上げました。まだ個人HPなどない時代でしたから、そのHPは早期から注目を浴びていたそうです。まだ、海のものとも山のものとも分からないネットというツールを、さらに自らのビジネスに引用、広告の媒体にしようと考えたのはまさに先見の明でありましょう。
 佐藤氏の論は、広告とはラブレターみたいなもの、4大ツール時代は、広告をぶてば、黙っても見てくれていたが、ネットや携帯、サイネージなど多様なメディアが出てくると、もうこれらのプラスアルファの媒体を抜きには広告は語れないということです。彼流に言えば、「相手を知ってラブレターを書き、しかもしっかり渡す」ことが重要。しかも、いくら商品を宣伝しても、今はネットで消費者が横断的に品評するツールを持っており、まがいものはすぐばれてしまいます。
 そこで、佐藤氏は、もう消費者はごまかせない、商品をもっとリアリティ−をもって宣伝する、つまりその商品のメリットだけでなく、デメリットまで含めて宣伝する方が消費者にはむしろ信頼されると提言しているのです。相手の身になって考えるということ、これは広告にとどまらず、広く人間関係に言えることです。そういう意味では、広告というのは大変泥臭いビジネスであることを再認識しました。
 これもベトナムの中国寄りの街、モンカイのレストランで知り合ったウエートレスの女性。われわれのモデルをしてくるなど、愛想のいい人でした。