つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

イーロン・マスク、ツイッター買収で何狙う?

 米EV(電気自動車)会社「テスラ」のCEOであるイーロン・マスク。宇宙をも視野に入れてスターリンクという通信網を造ったり、民間人の宇宙旅行を考えたりと規格外の事業発想をするビジネスマンで、小生、以前から関心を持っていました。その彼の事業で今、世間で一番注目されているのがSNSツイッター」社の買収です。いち早くEVの発展性を見いだした男だけに、フェイスブックリンクトインなど数あるSNSの中でなぜツイッターに目を着けたのは大変興味があります。恐らく一番世界的な影響力を感じたからだと思います。

 ツイッターが盛んに取り上げられたのがトランプ大統領時代で、彼は個人の情報発信のツールとして使いました。トランプが普通の民間人、ビジネスマンであるなら、それはそれで彼の勝手であり、構わないのでしょうが、大統領になってもこのツールを使い続けたのです。個人発信の形でホワイトハウスの会見より先に米政府の意向、方向性を示したので、世界は驚くとともに、そんなことがありかとも感じました。日本で言えば、官房長官の会見での公式表明の前に、首相が民間のSNSで先に個人メッセージを発するようなものですから。

 逆に見れば、ツイッターの情報発信力がそれだけ速く、影響力があるということでしょう。トランプのやり口を見て、世界の他の指導者、著名人がマネをし、ツイッター発信しました。イージーアクセスで自分の考えを簡単に表明できるのですから。笑ってしまうのは中国もそれに乗る。「ツイッターなど米国の通信網だから、危険だ」として自国民にはやらせないし、習近平ら指導者の個人発信こそないものの、海外にいる中国外交官がこのツールを使ってしっかりと自国の宣伝をしています。

 そういう意味では、ツイッターSNSの中でとりわけ政治性の強いツールだとの認識は世界で共有されたのです。だから、目鼻の利くマスクは、その政治性をいち早く察知し、買収に乗り出したのでしょう。なんと手中の珠テスラ社の株の一部を売却してまでツイッター社の獲得に執心しました。春ごろには一度買収を諦めた素振りを見せましたが、野心は心底に潜ましたままで、株価の安定を待って、この10月、一気に440億ドルを投入し、買収しました。彼は、未来性ある自動車、宇宙空間とともに、世界的なSNSをも手に入れたのです。

 彼はウクライナに無償で衛星コンステレーションスターリンク」を使わせることで、ロシア軍の位置把握を手助けしています。さすが米国の愛国ビジネスマンという印象を与えましたが、一方で、スターリンクの存在と有用性を世界に知らしめたという点では大きな宣伝になりました。それで、よくよく彼の行動を見ると、中台問題について、「台湾は中国の特別行政区になるべきだ」などと提案するなど、必ずしも米、西側の意向を汲んで動いているとは思えません。いやむしろ、中国でのEV事業を発展させるため、習近平指導部に取り入っている感じすらあります。

 マスク氏はさらにツイッターを使って、プーチンウクライナ指導部に対して現状維持を前提とする戦争終結を呼び掛けています。マスク自身もツイッターの政治性を十分利用しているのです。でも、ウクライナ側は領土が削られた状態での戦争終結に納得するわけがありません。いくらスターリンクを使わせてもらって恩義があるからと言っても、こんなロシア寄りのマスク提案にゼレンスキーは同意できないでしょう。

 ということで、こうした政治発言するマスクの狙いは何かを分析したい。小生はトランプと同様、将来、ビジネスマンから米政界の道に入るのではないかと考えていましたが、ですが、”残念”ながらそれはかないません。彼は南アフリカ生まれであり、米大統領は米国内生まれが条件ですから、その規定に反します。では何を狙っているのか。やはり、ツイッターで独占的に発信しながら、経済面で世界を支配するほどのビッグビジネスマンになることではないでしょうか。

 上の写真は、小生の自宅近くで見かけたランタナ。香港の街頭でよく見かけた花なので、今まで「香港花」などと勝手に称していましたが、実はランタナという花名らしいです。小中学校時代の友人に聞きました。

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