つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

何十年ぶりに出席した結婚式、チャペルは初めて

 最近、黒い服を着る機会は黒ネクタイの葬式の時の方が多いのが、年齢的に致し方ないことだと思います。ただ、葬式ばかりだと辛い、徐々に知り合いがいなくなるということですから。とてつもなく寂しい。9月には同人誌仲間で元高級官僚の方が亡くなったので、増上寺でのお別れの会に出るため黒服を使いましたが、やはり礼服は葬式よりはめでたい席の方が良い。ということを考えていたら、11月結婚式への出席招待の連絡が飛び込んできました。その結婚式が昨日11月6日にあり、喜んで出席しました。

 実に結婚式への出席など何十年ぶりのことか。結婚式というのは若い世代の”特権的”なセレモニーであり、本来年寄りには縁が薄い。それでも子供や孫がいれば、当然出席するのでしょうが、小生らのように子供がいない夫婦にとっては、まったく縁のないものです。それが、どういうわけか、小生が理事をしている留学生向けの奨学金支給財団で、かつて奨学金を受けた中国人が小生の住む横浜・桜木町のみなとみらい地区で結婚式を挙げるというので呼び出しがかかりました。嬉しかったですね。

 この奨学金財団は、前にも書いたことがありますが、受給者に金を渡すだけでなく、毎月財団の事務所に一堂に会してパーティーを開いたり、一緒に旅行したりして受給者同士が仲良くなることを条件にしています。それは、留学生たちが国を越えて仲良くなれば、ビジネスマン、国際人個人のシンジケートが構築でき、延いてはそれが平和につながると信じた財団創設者の遺志でもあるのです。その仲良し作戦で、韓国人とベトナム人の受給者が接近して結婚したことがありました。今回は国を越えたものではないのですが、同じ時期に奨学金を受けていた中国人の男女学生が愛し合い、結婚となりました。

 この中国人男女を奨学金支給対象者にするために小生も面接担当者の一人として参加しているほか、男性の方は支給が終わった後もさまざまなビジネスコンタクトで付き合ってきました。どういうわけか男女2人はすでに同居し、小生と同じ横浜に住んでいます。男性はドローン開発の研究者、技術者でもあり、優秀な人材。日本の大学院時代に米国にも短気留学して世界の技術の事情にも精通している。小生の知り合いに中国のドローン企業に関係する中国人企業家がいて、一度彼を紹介したことがありますが、彼は断固として国に帰らず、日本企業にこだわり、今、日本のために最先端のドローン開発をしているのです。なんと頼もしいことか。

 それはともかく、2人が結婚式を挙げたのは「ノートルダム横浜みなとみらい」という横浜みなとみらい地区の大岡川河口付近に最近できた式場。その中には天井の高い広々としたチャペルがあり、2人はそこで厳かな式に臨みました。小生はこれまで教会の結婚式などに出席したことがなかったので、聖書を引用した外国人牧師の説教や、讃美歌の合唱、夫婦の誓いの言葉やベールをめくっての接吻などの手順が見られてとても新鮮でした。また、カップルが教会の扉から出てきた時に列席者が花を投げ散らしたりするのは映画でしか見たことがなかったのですが、今回、本物が見られ、しかも小生自身も参加できて幸せでした。

 実は、セレモニーの最後は新郎新婦が後ろ向きになって花束を投げるのが一般的。それでその花束をキャッチした人が次にこのセレモニーの主役になる、つまり結婚することが約束されると言われていますが、この新郎新婦は前向きになって2人の中国人女性と向かい合い、直接手渡したのでした。この女性2人がまだ未婚であることを承知しており、自分たちに続いて欲しいという願いがこもった行動でしょうか。でも、この女性2人はしらっとした顔で、喜んでいるようには見受けられない。結婚への期待感もそれほどないように思われました。中国も少子化になりそうな気配です。

上の写真は、奨学金財団で愛を育み、結婚した中国人同士のカップル。チャペルの外には大岡川河口の水面があり、その上には空中キャビンが走る。横浜らしい素晴らしいロケーション、風景です。