つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

あの耐震偽装建物は今回の地震でどうなったのか

 確か、2、3年前でしたっけ、姉歯秀次なる一級建築士耐震偽装の建物構造設計をし、それが現実に造られていたということで世間をにぎわしました。あの事件はその後、まったく忘れ去られたようで、3月11日の震度5強の地震があっても、再び注目されることはありませんでした。ということは、姉歯さんが造った耐震偽装の建物も、これまでの最大級といわれた揺れに耐え、被害はなかったということだと思うのです。
 もし、耐震偽装の建物が瓦解するようなことがあったら、多分、マスコミがキャッチし、その俎上に載っていたでしょう。しかし、小生が知る限り、どのマスコミも報じなかったということは、たぶん、どこも倒れていなかったからに相違ありません。姉歯さんがそこまで計算して鉄筋の数をごまかしたのかどうかは分かりませんが、現実認識として、彼の構造計算で十分耐震性はクリアされていたということでしょう。
 姉歯さんの構造は、阪神大震災以前の基準であるといわれていますが、そもそも阪神大震災前に建てられた関東圏の建物でも、瓦解した例はありませんでした。九段会館などで室内の天井部分が落下したケースはありましたが、、。となれば、震度5程度の地震では、1970年時代ころの耐震構造で十分なのであって、阪神大震災後の基準は重すぎるのです。
 振り返れば、耐震偽装発覚当時、くだんのマンションを買った人が引っ越しをしたり、建て直しを要求したりというようなファナティックな対応が見られました。今回の結果論で言えば、これらは過剰反応であって、若干の補強工事をすれば、住家として十分耐えうるものだったのでしょう。
 確かに、厳密にルールを守らなかった姉歯建築士は悪いヤツで、刑務所に行くのは当然です。ただ、彼が構造計算した建物が今回の地震に耐えたのであれば、最初から震度5程度への耐震性は維持できるという見通しを持っていたと思われ、そういう意味では建築士として彼なりの最低限のモラルはあったということでしょうか。
 問題は、今後来襲する可能性が高い東京直下型のときで、今回以上の震度の大きさ、地震エネルギーが生じたら、姉歯構造建物でも瓦解を防げるかどうか分かりせん。ですが、姉歯建物が瓦解するのであれば、そのときは他の多くの建物も瓦解するでありましょうから、姉歯建物は多くの倒壊建物の中に韜晦してしまうはずで、目立たないでしょうね。
 下の写真は、中国山東省の名山・泰山の山容を背景に撮った一枚。このあと、頂上まで登りました。