つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

国難時に感情論の首相降ろしは止めよ

 考えてみれば、菅直人という御仁はいい根性をしていますね。最近の首相はというと、元首相の孫だったり、子どもだったり、あるいは何代にもわたる政治家の出だったりで、純粋に”市民”からトップに上り詰めた人はいませんでした。その分だけ、権力に汲々としていないのか、だれかから批判されるとすぐ辞めてしまいました。
 その点、菅直人氏は周りから「辞めろ、辞めろ」の大合唱があっても、辞める気配がない。ある人は愚鈍と言うし、ある人は全然世の動きが分からない人と言うけど、一向に意に介さないようです。菅氏の能力はともかくとして、あの粘り腰には驚くし、近年簡単に辞めた血統書付き総理を見てきただけに、ある意味尊敬に値する姿勢だと思います。
 震災からまだ3カ月と少ししか経っていないのに、果たして首相を替えていいのかという議論はずっとありました。正直、その是非は小生にはよく分かりません。小沢氏のように、なんでも政局にして自らのレーゾンデートルを出そうとする輩には心底不快感を覚えますし、あんな奴が辞めろというならば、辞めなくてもいいとさえ思いました。
 なるほど、震災対応で菅直人氏のやり方があまりにも稚拙であるならば、辞めるべきでしょう。しかしながら、果たして菅直人氏は、リーダーとしての能力が決定的に劣る政治家なのか、菅政権に辞めるべき決定的な理由でもあるのかと問いたくなってしまうのです。所詮、血統書付き総理がやっていたとしても、五十歩百歩だったのではありませんか。
 要は、民主党の反対派も野党も単に菅嫌いであるだけだと思います。西岡参院議長は、「あなたは菅のどこがダメか」との記者の質問に「全部」と答えていました。個別にどこどこが悪いと言えないのは、裏返すと生理的嫌悪感で言っているに過ぎません。こうした論に説得力はありません。
 震災緊急対応をこの国会で完遂しようとするならは、少なくとも延長国会が終わるまで、ここは目をつぶって一生懸命菅に協力すれば済む話ではないのですか。市民の目からすると、この国難の時期に個人的な好き嫌いだけで、首相降ろしなどしていいものなのかと思ってしまうのです。 
 下の写真は、山東省最後の夜、青島市郊外に宿泊、その宿の近くにいた犬。ホテルにチェックインしたあと、街をうろつくと、われわれをにらみつける犬がいたので、ワンショットしました。