つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ジャスミン革命、次はアサド打倒か

 小生は中国の専門家なのですが、中東のジャスミン革命はそれなりに興味があります。チュニジアで始まった独裁者打倒の動きは、エジプトに移り、さらにリビアにも波及しました。北アフリカアルジェリア以外すべて政権が変わってしまいました。今、いちばん注目されているのはシリアであり、アサド政権が倒れると、中東の政治力学もかなり変わりそうな印象を与えます。
 リビアは有力な産油国であるので、今春、この地が混乱し始めると、原油先物の値段に影響するのではないと小生も危惧していました。案の定、かなりの影響が出て、日本のガソリン価格も円高恩恵もどこへやら、150円近いという高値をつけています。このほど、首都トリポリ反政府軍が制圧して一応政権転覆のけりはついたのですが、カダフィー氏は依然国内に潜伏し、長期戦の構えを見せています。そういう意味で、原油の値段も当面高値維持なのでしょうか。
 非対称戦というのは、一方が見えないだけに、正規軍の方がかなり消耗することになり、一般に終息にはかなりの時間を要します。それは、カンボジアでのクメールルージュ、マレーシアでのマラヤ共産党、フィリピンでのミンダナオ島イスラム勢力の掃討に手を焼いた過去を見れば、よく分かります。ましてや、あのファナティックなカダフィーであるだけに、今後どんなゲリラ戦を展開してくるのか、見当がつきません。あるいは民衆を楯に取るような心配もあり、新政権側も気が抜けないでしょう。
 シリアは、イランと北朝鮮とともに、かつてブッシュ米大統領に「悪の枢軸」と言われた国。つまり、イランの狂信的な宗教支配軍事組織、革命防衛隊とも軍事的なつながりを強めているばかりでなく、レバノンヒズボラガザ地区ハマスなどの強硬派を煽ってイスラエルに攻撃を仕掛けさせ、絶えず中東にきな臭さを呼び込んでいる張本人です。
 現在、このシリアにもジャスミン革命が及んでおり、反体制のデモが起きていますが、二世権力者のバシャール・アサド大統領はすでに罪なき市民2000人以上を殺しているといわれており、安易な収拾は無理になりました。オバマ大統領もEU諸国もアサド退陣を要求しているので、もはやアサドを相手にできないでしょう。かつてはロンドンで歯医者をしていたというこの二世権力者も今や、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされています。歯医者だから、敗者になるという駄ジャレは言いません。
 アサドが倒れることになれば、イランは有力な同盟国を失うばかりか、イラン国内の反体制派をも勇気付けることになるでしょう。ジャスミン革命は、シリアのあとやがてイランに波及するのは必至です。
 下の写真は、中国黒竜江省黒河で、アムール川を背にした小生。