つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

オバマよ、あと2年カーターを反面教師に

 もろもろの雑誌、新聞を読んでいるとやはりオバマ大統領の外交政策は評価されていないようです。就任早々、核兵器をなくすなどと海外の演説でぶち上げ、ノーベル平和賞を授与されたのは結構なことですが、その後、まったく米国がその方向に向かうことはありませんでした。彼は、もともと外交、安全保障政策について勉強不足だったようで、世の中は理想だけでは動かないことをその後十分理解したためだと思います。
 政治家を志す人はまずエドワード・カーの「危機の20年」、ハンス・モーゲンソーの「国際政治」を読まなくてはなりません。「20年」の方は、第一次世界大戦が終わったあとわずか20年でなぜ再び世界大戦が起きたかを分析した本です。その結論を浅学菲才の小生が軽軽に言うのははばかられますが、要は外交、国際政治は理想に走り過ぎるなということです。理想は理想として、しっかり現実に目を向けろということです。
 オバマというより、これは戦後の民主党の大統領に多い傾向ですが、理想主義に走る傾向が強すぎます。70年代のカーター大統領などは、ソ連への和解を求めたのに、ソ連が突如アフガニスタンに侵攻してびっくり、逆に過激になりモスクワオリンピックのボイコットに出ています。イランのホメイニ革命後は、テヘランの米国大使館が占拠されても驚くばかりで、何もできませんでした。
 さらにクリントン大統領の時、北朝鮮核兵器を造っていることが分かり、大統領はこのサイトを爆撃しようとしたところ、カーターはこれに異議をとなえ、自分が核兵器製造を止めさせるよう北朝鮮に交渉に行くと進言、実際北に行きました。しかし、金日成にころっと騙され、北は核兵器を造り続けました。その挙げ句が今では、北朝鮮は米国にも屈しない核保有国になっています。世界に冠たる米国の大統領としてはばかの見本みたいな人です。
 自分が善意を見せれば、相手も善意を見せる、友好的姿勢を見せるというのはまったく当てはまりません。これは人間関係でもそうですが、特に国家関係では顕著に見られます。理想としては、崇高な理想を掲げる必要があります。ただ、それを実現するためにはどういう現実的な方法を取らなければならないかということを政治家はしっかり見極める必要があるのです。
 オバマは今、シリア、イスラム国をめぐる中東、ウクライナ問題でも迷走しています。小生、オバマの人柄は嫌いではありません。あと2年の執政ですが、カーターを反面教師として米国らしい外交政策を打ち出してほしいと思います。新年早々の苦言になってしまいました。

 上の写真は、香港の雑誌「開放」の蔡詠梅副編集長と小生。開放は一貫して中国に批判的で、小生は香港駐在時代によくこの編集部を訪ねていました。開放は今年から、雑誌刊行でなく、電子版に衣替えします。経営的な問題が原因とか。一国二制度とはいえ、香港でも反中国の雑誌は居辛くなったのでしょうか。