つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

オバマ広島訪問にはしゃぎ過ぎるな

 オバマ米大統領が伊勢志摩サミットに合わせて広島を訪問することが大きなニュースとなっています。日本のメディアは、鬼の首でも取ったような扱いをしていますが、小生などは、正直、そんな大きなニュースなのかという思いがしてなりません。オバマが広島訪問したからと言って、米国が核兵器に対する考え方を変えるわけでもなく、核軍縮が始まるわけでもないのですから。
 オバマは2009年、大統領に就任した直後、チェコプラハで「核兵器のない世界を目指す」と宣言しました。最大核大国の米大統領の発言だけに世界中が驚き、その結果、同年のノーベル平和賞までさらってしまいました。でも、その後、7年以上、彼はトップの座にいるけど、核政策で何かドラスチックな転換を図ってきたでしょうか。そのような動きがあったなどということは寡聞にして知りません。
 汚い話で恐縮ですが、オバマ発言はしょせん”貧乏農家の野菜畑”、掛け声(掛け肥)ばかりで何にも成らない(水補給、草取り、防虫剤散布も必要なのに)。要は、理想を言うばかりで何ら実現に向けて足を踏み出してないのです。ですから、今月下旬にオバマが広島を訪問しても、それは彼の個人的な希望に基づく行動であって、米国の政策全体に大きな変化をもたらすものではありません。
 たとえオバマが何らかのアクションを起こそうとしても、政権末期のことであり、十分な時間が取れないでしょう。国務省は「大統領が広島で何か宣言を出すことはない」と早くも煙幕を張っています。核軍縮どころか、米国民にある「原爆投下肯定論」を覆すようなことにもならないでしょう。その点では、大きな期待を抱くのは虚しいし、日本のマスメディアもはしゃぎ過ぎは良くないと思うのです。
 歴史上、米国の大統領は、理想的なことを言って、結局、実行が伴わないことがよくありました。5代目のジェームズ・モンロー大統領は、米欧州相互不介入のモンロー主義を主張していながら、米国はその後しばしば欧州事務に介入してきたし、28代目のウッドロー・ウイルソン大統領は第一次世界大戦後、国際連盟の創設、諸民族の自決などという14か条の平和原則を打ち出しながら、国としてはとうとう国際連盟に加盟しなかったし、米西戦争で得た植民地フィリピンも手放さなかったのです。
 大統領個人の理想と米国全体の方針、政策は違うのだということを、われわれはしっかりと認識しておく必要があります。という意味で、マスメディアがオバマ広島訪問を過大評価したり、ミスリードすることがないよう監視しなくてはなりません。

 上の写真も、横浜開港記念パレードでの風景。