つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

日本の自前安保を考える良い機会

 米大統領選は、どうもヒラリー・クリントンドナルド・トランプの争いになることが確定したようです。日本にとっては、日本嫌いのヒラリーと日米安保嫌いのトランプと、どちらも避けたい候補者ですが、これも米国人の選択、甘んじて受けざるを得ないでしょう。一つ言えることは、両候補者の登場が日本にとって、日米関係を見直すきっかけになることは間違いありません。
 トランプは、「日本は安全保障を一方的に米国に頼って、不公平だ」と言っています。なるほど日米安保条約は基本的には片務的で、NATOのような双務的でありません。「安保ただ乗り」などという言い方もされました。ただ、日本は在日米軍基地の維持には「思いやり予算」ということで相当の負担を強いられています。また、日本は何もしないのではなく、自衛隊は、国連主義に基づいてこれまでPKOのような形で一定の貢献をしてきています。
 自衛隊専守防衛という憲法上の制約があるので、少なくとも海外で参戦することはありませんでした。トランプはこれが気に入らないようで、日本や韓国に自前の防衛力整備を求め、核兵器の所持すら勧めています。トランプの言い方は、中ロ、北朝鮮の核の脅威に対し、米国は今後、「核の傘はもう提供しないよ」と言っているに等しく、日本、韓国が周辺の独裁国、半独裁国の理不尽な核の脅しを受けても、われ関せずということなんでしょう。
 もし、トランプが大統領になり、そのまま彼の考え方が政策に反映されるとしたら、日本はどうしたらいいのでしょうか。日本が自前の防衛力をつける、つまり一国安全保障を図るしかないのですが、そうしたら、今の防衛予算の5−10倍の額が必要だとされています。国家の安全を図り、侵略や外交的非優位性を避けるためには、脅しに負けない相応の抑止力を持たなくてはならず、当然、核兵器の開発、所持も考慮に入れなければならないでしょう。
 民生を犠牲にしてそこまでできるのか。端的に言えば、老齢年金や医療費補助などを削って軍事費の拡大を図れるのか。でも、それができないのなら、中国や北朝鮮の要求に唯々諾々と応じるしかなく、中國が「尖閣諸島を寄越せ」と言ったら、「はいはい、分かりました」とこたえるしかありません。それがアナーキー(無秩序)である国際社会の現実です。日本は難しい選択に迫られている感じがします。
 日本は被爆国であるということで、「核」と聞くと鼻から嫌だという人が多い。でも、現実は世界は核を所持する国家が増えているのであって、北朝鮮などはそれで自前の王朝の保持を図っています。嫌いだかから目をつぶって他を見ないというのは、危険時に砂に首を突っ込む駝鳥現象です。「平和」と叫べば平和が来るものではありません。憲法9条があるから平和が保てているものでもありません。
 ヒラリーにしろ、トランプにしろ、日本軽視が進むなら、我が国は今や核所持を含めて一国安全保障、自力防衛という問題を考えなくてはならないと思うのです。

 上の写真は、横浜開港記念パレードに出てきた華僑総会の蛇踊り。