つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「東京だよ…」の2番が歌えない理由は

 このほど亡くなった島倉千代子という歌手。小生の一回りも年上の女性なんですが、昔から見ている印象からすると、「かわいい人だな」というイメージでした。特にえくぼが魅力的で、その昔、テレビのメロドラマのヒロインとしても出演していましたが、そのころから美人でしかもかわいい島倉さんの一ファンでした。
 もちろん、彼女が歌う歌も、声の質も好きでしたし、高音はすばらしいと思っていました。その中でも、「東京だよ、おっ母さん」という歌はいいですね。第一、歌詞がいい。母娘の温かい情感が伝わってきます。今回も、NHKの追悼番組で彼女がこの歌を歌う場面が出てきました。彼女が歌うと、母娘が手を引いて歩く風景が浮かんできて、なぜか涙ぐんでしまいました。
 その追悼番組で島倉さん自身が暴露していましたが、NHKは、この「東京だよ、おっ母さん」を彼女に歌わせるとき、決して2番の歌詞は歌わせないようにしていたというのです。2番の歌詞って、「優しかった兄さんが、田舎の話を聞きたいと、桜の下でさぞかし待つだろ、おっ母さん。あれがあれが九段坂、逢ったら泣くでしょ、兄さんも」というもの。すみません、ジャスラックの許可なく掲載します。
 ここには靖国神社とはひとつも出てこないけど、九段坂からし靖国を参拝する様子が描かれています。でも、母親が合祀されている戦没者の息子に会いに行くという光景がどうして禁止の対象になるのでしょう。靖国神社が、少なくとも戦前は戦没者の祀られる場所であり、戦後もその状態が続いていることは疑いないのに。
 この歌詞の中には別段、戦争を美化する個所も見当たりません。母親と死んだ息子の情愛(プラス兄妹愛も)を感じさせるだけです。それなのに、NHKは何を嫌がって、いや何を恐れて島倉さんに歌わせなかったのでしょう。この自己規制は意味不明です。でも、追悼番組の中では、島倉さんはきっちり、2番、3番と歌っていました。これがせめてもの救いでした。
 下の写真は、上海市浦東地区奉賢区の中心地南橋の繁華街にあるモニュメント。中国ではにぎやかな街中でよくモニュメントを見かけます。