つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

タイは民主主義を否定するのか

 とうとう2014年が明けてしまいました。90年代に香港にいたとき、コンピューターの2000年問題がどうしたこうしたとの記事を書き、議論していたけど、その2000年からもすでに丸13年たつんですね。小生自身も年を重ねていることを実感せざるを得ないです。ただ、だからと言って、老境に入ったなどの気持ちはさらさらありません。まだ成し遂げなくてはならない夢もあるし、見たい結果もいっぱいあります。
 そういう感慨はさておき、昨今の国際情勢を見ていると、時代に逆行するような不可思議なことばかり起きていると感じてなりません。その代表的な例がタイの情勢。東南アジアの中でずっと独裁体制とは縁がなく、民主主義国家としては古い国であるのに、昨今はこの民主主義を壊そうとする動きがあることです。
 現首相のインラック女史は、まぎれもなく総選挙によって選ばれた首相です。それを軍の影響を受けた黄色党が民主主義ルール無視で首相降ろしに走っています。彼らが首相の施策に反対してデモや運動をするのは自由ですが、経済活動に影響を与えるような混乱まで引き起こしています。
 こうした国内の混乱を収拾するために、インラック首相は議会を解散し、再び民意を問おうとしていますが、これに対しても、黄色党は選挙不参加や選挙妨害に出ています。これって民主主義の否定ではありませんか。黄色党はそれほど王様の親政や軍の独裁を望んでいるのでしょうか。確かに、インラック女史自身にあまり能力はなく、国政は国外にいる実兄のタクシン元首相がリモートコントロールしていると思います。でも、それは一つの手段であって民主主義の制度を逸脱するものではありません。
 インラック女史はあくまで選挙によって選ばれた人です。民意は民意であり、尊重すべきです。現政権がそれほどひどいのであれば、世間に訴えてあくまで選挙で倒すのが筋でしょう。自由と民主主義が時代の進歩と考える小生には、黄色党の連中が無理難題を吹きかけ、いたずらに混乱をもたらしているとしか思えず、不快感が募ります。
 前にも書いたけど、エジプトのモルシー前大統領の例でもそうですね。この政権がイスラム原理主義をバックしているから危ないなどと言っても、彼も民意で選ばれた大統領です。エジプトが民主主義を大事に思うなら、彼の地位を尊重すべきでした。
 同じく、インラック首相も多分に華僑系という血筋から、中国の影響を受けていることは確かでしょう。昨今の東南アジアへの中国浸透力の危険性を考えたとき、タクシン−インラック・ラインは危ないと思う人は大勢いると思います。でも、民主主義はあくまで多数に従うのがルール。降ろしたければ、彼らのそういう危ない点を選挙で訴えて降ろせばいいのです。政争はあくまで選挙で決着をつけるべきです。
 下の写真は、香港でパッシンリンへの山登りをした際、山のふもとで出会った犬たち。地元の若い夫婦が散歩がてら連れてきたものです。