つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

宗教に北風吹かせれば危険

 中国新疆ウイグル自治区ウルムチ鉄道駅で、4月30日に爆発が起き、80人以上が死傷する事件がありました。習近平国家主席がを訪問したすぐあとのことで、テロリストは明らかに習を標的にし、そのトップ狙いの効果を喧伝しようとしていることは間違いなさそうです。
 中国では昨年から今年にかけて、北京市山西省雲南省など中国各地で爆弾や自爆テロが相次いでいますが、ついに国のトップを狙うところまで来ました。尋常ならざる事態です。ある人が「中国国内はもはや内戦状態に入ったのでは」と指摘していましたが、そういう状況がなきにしもあらずといった感じですね。
 これらのテロは、山西省のケースを除いて、宗教弾圧が背景にあることは間違いありません。新疆の場合はイスラムチベット内モンゴルの場合はラマ教チベット仏教)。それぞれ少数民族がいただいている宗教を共産党当局が統治に邪魔だとばかりに抑圧しているため、少数民族側の反発がそれだけ強まっているようです。
 とりわけ、新疆ウイグル自治区では、当局側の弾圧が行き過ぎているように見受けられます。ウイグル族はトルコ系で当然イスラム教を信仰しているので、男は白い独特の装束を身にまとい、帽子をかぶり、ひげをはやします。当然、モスクへの礼拝も欠かせません。また、女性はスカーフやベールで髪を隠すことになるでしょう。
 しかし、中国当局は、イスラム男性独特のスタイルを認めず、モスクも取り壊しの方向にあると聞きます。まあ、もともと毛沢東は「宗教はアヘンだ」「宗教は社会主義国家には必要ない」として取り締まり、文革中は、紅衛兵らによって宗教施設、遺物が数多く破壊されました。大方は、これは毛沢東文革期の狂気だと思い、仕方のないこととあきらめていました。
 しかし、どうも宗教弾圧の狂気は毛沢東時代で終わったわけではないようです。改革・開放が始まって経済発展を重んじるように1990年代の末期にも、法輪功という組織が江沢民国家主席によって猛烈な弾圧に遭っています。さらに、つい最近の例では、浙江省の温州市郊外で建設中のキリスト教の教会が地方政府によって破壊されています。
 宗教はある部分、国家や法律、生命を超える存在でもあるので、宗教弾圧をすれば、教徒はいわゆる物理の作用反作用の法則でますます反発心を増し、共産党の統治をぶち壊しにかかるでしょう。しかし、習近平政権は依然強硬姿勢で、懐柔策を取る様子はありません。イソップ物語に北風と太陽という話がありますが、あくまで北風で押し通そうとしているのです。
 昨今のテロはすでに共産党政権に対する少数民族イスラム教徒らの反抗力の表れです。強硬姿勢を取り続ければ、各地でテロや暴動が頻発するでしょう。まさに中国は危険な状態になりつつあります。


上の写真は、5月3日、横浜の繁華街で行われた横浜開港記念みなと祭パレードの風景。伊勢佐木モールで、犬の散歩がてら撮りました。