つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

党大会直前に習近平軟禁説、可能性大きい

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 中国の党・政府の中枢、中南海できな臭い雰囲気が漂ってきました。端的に言うと、習近平国家主席は、ウズベキスタンサマルカンドで開かれた上海協力機構サミットに出席。9月16日夜、各国首脳との晩餐会をキャンセルして緊急帰国。そのあと、警衛当局に連行され、自宅軟禁されたというのです。もちろん、公式報道は一切ありませんが、さまざまな客観情勢を見ると、どうも政変があったことは間違いないようです。事実とすれば、世界的なニュースであり、われわれチャイナウォッチャーも固唾を飲んで今後の情勢を見守るといった感じです。

 選挙で政権の正当性を訴えることができない国家の悲劇でしょうか、独裁国家の指導者は、最後は軍隊、警察という「暴力装置」(これは政治学では一般的な用語)に頼らざるを得ないのですが、習近平は、過去10年間でこうした「装置」のメインストリーム、マジョリティーを壊してきました。2017年に清廉な軍人、房峰輝総参謀部参謀長、張陽総政治部主任ら主流の軍人を排除して自分と親しい軍人を幹部に据えました。さらに、警察(公安)関係では、つい最近まで公安省、各地の公安庁の粛正を行い、これも自分の福建省時代の部下である王小洪を公安相に抜擢しています。

 どこの会社でもそうですが、情実人事ばかりしていれば、トップは評価されません。習近平は3期目を狙って周辺を自らの人脈を固め、それで切り抜けられると思ったのでしょうが、世の中はそんなに甘くない。大した理由もなく失脚させられた人間は必ず恨みを持ち、報復を企てます。それはどのタイミングになるのか。小生は恐らく今夏の北戴河会議であろうと思っていましたが、何にも出てこなかったので、がっかりしていました。でも、実際は反対派の追い落とし工作が進んでいたんですね。

 その後の情報で、遼寧省瀋陽を本拠とする解放軍北部戦区の司令官李橋銘なる将軍がわざわざ北戴河会議に駆け付け、習に対し不満を表明し、退陣を迫ったとのこと。同会議はもともと党・政府・軍幹部が集まって自由に意見交換する場ですが、当然軍事委員会主席でもある習は李の態度に怒り、このあと更迭してしまったのです。こうしたことで軍全体の習に対する不満は頂点に達したのかも知れません。実際に瀋陽で9月初め、習支持派と反対派による武力衝突があったと言います。

 軍人も公安も反習近平派が多くなり、それと並行して人民の感情もゼロコロナ政策で習に対する不満が爆発していました。こんな無能で権力欲だけ旺盛な男があと5年以上もやるのかと思うと、たまらない。小生の中国人友人の中にも「習政権下で逼塞状態にある中国から出るしかない」と覚悟を決めた人もいました。で、反習の動きがフォーカス・オンされ、第20回党大会(10月16日開会)1カ月前の9月になってとうとう具体的な動きになったようです。これは1976年秋、毛沢東死去後、4人組に対する人民の怒りが募ったのを受け、反4人組派幹部が実力行使に出た状況と酷似しています。

 でも、16日夜軟禁状態に置かれたというのに、どうして公式発表がないのか。それは反対派もさすがに正式手続きも踏まないうち、暴力的な方法で倒したことを喧伝したくないのでしょう。恐らく党大会直前に開かれる7中全会で発表されるのではないか。まだ正式発表がないので、今後の見通しには触れません。いずれにしても、ほとんどの中国人民は喜んでいるものと思われます。習夫人で著名な歌手の彭麗媛や習の宣伝工作を担当していた娘の明沢はすでに米国に向け出国したという情報もあります。妻娘は習攻撃のとばっちりを受けるのを嫌がったのでしょう。

 上の写真は箱根の湿生花園で見た食虫植物ウツボカズラと、下の紫の花は猛毒を持つトリカブトウツボカズラは香港の山で良く見たし、トリカブトは丹沢で群生しているのを見かけています。