つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

クリミア併合は戦後秩序の改変になるのか

 クリミア半島のロシア併合という手続きが取られてから、3月18日で一年になるようです。米国や欧州諸国はこれを「力による戦後秩序の改変」「強制的併合だ」として認めていません。確かに、見た目はちょっと手続きの性急さ、ロシア側の配慮のなさが見られ、感心しません。われわれ西側の民からすると、承認するにはためらいが出てしまいます。
 ただ、この地はもともとソ連邦の一部であり、ソ連邦の軍港があり、ロシア人がかなり多く住んでいて、(手続き的に問題があるにしても)住民投票でロシアへの編入に95%以上の支持があったという事実からすると、今となっては、ロシアの一部であることを認めざるを得ないのではないかという感じもします。できることなら、ロシアがもっと上手に事を進めてくれれば良かったのですが、、。
 クリミアのロシア併合が戦後秩序の改変になるのかという点ですが、第二次大戦が終了した時点では、クリミア半島ソ連邦でした。ソ連邦が解体した1990年年代初めにウクライナへの編入が決まったのですから、厳密に言えば、戦後秩序の改変にはならないでしょう。ソ連邦崩壊時点でロシアとウクライナが軍事的、政治的に対立するなどということは予想されなかったので、ロシアとしても安易にウクライナ編入を認めたに違いありません。
 ところが、ソ連邦崩壊後の欧州大陸の秩序は急激に変わりました。EUの東方拡大、東欧諸国のNATO加盟が続き、ついに旧ソ連邦国家(CIS)もEUNATO加盟に色気を持ち始めました。NATOが潜在敵国をロシアとしている限りにおいて、ロシアは隣国のウクライナまでNATOに入ることを受け入れられない、ロシアの安全保障を考えれば、ウクライナの政治情勢に無関心でいられないということは十分に理解できます。
 その一方で、日本は価値観を共有する欧米との関係を無視するわけにはいきません。という視点に立つと、日本はクリミア問題に関して洞ヶ峠を極め込んだ方がいいと思います。いたずらに欧米に与することなく、かつロシアの主張にも乗らないということです。したがって、積極的には動かないことが上策。それなのに、わざわざクリミアまで出かけて、一方的にロシアに迎合的な発言をしたお粗末な元首相がいました。国際政治の分からない人をトップに据え、今でもその勝手を許しているのは日本の不幸です。

 上の写真は、小生が関係している奨学金財団が先週、卒業奨学生のために開いたパーティーの風景。テーブルに載っているのは、奨学生が自ら作った自国の自慢料理の品々。