つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「安保法制化、首相に真摯さ見られない」

 昨日、ある高名な官僚OBや熟練ジャーナリストの人たちと食事を共にする機会がありました。そこで話題になったのが、今参院に回された安保法制の件。産経という保守的な新聞に書いておられる高名なジャーナリストの一人(女性)は「世間は抑止力という概念が分かっていないし、一定のマスコミはこれを意図的に避けて報じているようだ」という主張をされていました。小生も同様の見方をしているので、わが意を得たりという感じでした。
 この食事会はまた、国会審議中の安保法制が必要であることを前提にし、その法制化を図るノウハウ、国会審議の方法もテーマになりましたが、高名な官僚OBは「安倍首相のやり方はまずい。上から目線。周囲にきちんとしたブレーンがいなんのじゃないか」と発言していました。小生も今国会で安倍首相、自民党の審議の進め方にいささかの疑問を感じていたので、納得する部分がありました。
 官僚OBによれば、安倍首相はこの法制化を必要とするなら、「こういうケースでは現行の法制下ではどうしてもカバーできないので、拡大を認めてほしい」ともっと真摯に国民に呼びかけてもいいのではないか。安倍首相の姿勢からは国民を何とか説得したいとする意思が見受けられない(小泉氏が郵政民営化の必要性を訴えた時とは大違い)。どうせ、大方の国民は理解できないのだろうし、国会は多数を持っていて最終的に法案は通るのだから、小手先の対応でいいという姿勢が垣間見られるというのです。
 確かに、今春、安倍首相は米国を訪問した際、米議会で今夏の安保法制の実現を約束しました。これは日本で国会審議を考える場合、いささか勇み足でなかったかと小生も感じるところです。せめて、「近い将来、国民を説得し、今夏の国会で法制化するよう努力する」くらいにとどめておけば良かったように思います。
 自衛隊が戦闘に参加するということを極力隠したいのか、首相は集団的自衛権拡大の説明に、隣家の火事をたとえ話に使っていました。これも姑息な感じ。場合によっては自衛隊は自衛のために、国家・国民を守るために戦闘に入ることもあるのだと明言すべきです。国民はそれほどばかではありせん。
 今の世界情勢を見れば、戦争の危機とまったく無縁でいられると思っている人は、一部の空想的平和主義者を除いてほとんどいないでしょう。事は安全保障の件なのですから、郵政民営化以上に真摯に国民に向き合い、説得してほしいと思うのは小生だけではないようです。

 上の写真は、講師をしている大学に通う道途上に鎮座する石のワンちゃん。「この犬を撫でるとご利益がある」と書いてあるので、小生はいつも頭を撫でています。