つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

空売り”犯人”追及している時ではない

 中国の株式市場が今週明けの27日、またまた8%以上の値崩れをし、バブル崩壊感を加速させています。昨年には不動産市況がガタ落ち、しかし元高などにより輸出業も振るわないので製造業もダメ、さらには内需拡大のキーポイントになる中国国内への投資や観光業も環境問題、労賃アップなどがあって伸びません。したがって、株安は実体経済を反映したものではないかとの見方が一般的です。
 中国株式市場への参入者は85%が個人投資家と言われ、株式市況の悪化は即一般大衆にとって潜在資産の減少を意味します。ですから、不動産市場が振るわない今、中央の党・政府は社会不安を抑えるために、必死になって株価の維持に努めるのは分かる気がします。ただ、いくら株価維持といっても、日本がやるような公的資金の投入ばかりでなく、独裁統制国家ならではの異常な措置まで発動していることにちょっと恐ろしさを覚えます。
 実は、株価は6月初めに天井を打った(最高値に達した)後、徐々に下げ始めましたが、その時点で党・政府は早速、株価維持のための対策(PKO=プライス・キーピング・オペレーション)を打ち出しました。それは、1、国有企業が自社株売買するのを禁止、2、証券会社への融資を行う金融機関への資金支援、3、保険会社による株式市場投資枠の拡大、4、手数料の引き下げ―など。この程度なら諸外国でも行われることで、まあまあ理解できます。
 問題はそのほかの措置で、業績悪化企業の取引停止。これで、上海、深セン両取引所の上場企業の約半数が取引停止に追い込まれたというのはびっくり。さらに、「市況を悪化させるようなニュースはまかりならぬ」と極端な報道規制を敷いたことや、市場の通常ルールである空売りを禁止したことにも驚かされました。
 公安省(警察)は”悪質な“空売りをした個人、企業には刑事罰を適用すると宣言。実際に、孟慶豊同省次官をトップとする調査組が、先物取引で不正な相場を作り出し、株式市場の急落を招いたとして、上海のある貿易会社を調査したと伝えられています。これらは統制国家では普通な”措置”なのでしょうが、われわれ自由の国に生きる人間からすると、異常な感じがします。
 苦肉の策のPKOも7月早々に発動されたあとしばらく効果を上げましたが、冒頭で触れたように今月27日の週明けに最悪の下落幅を記録しています。やはり、実体経済が弱っているという証かも知れません。ですから、中国は今、空売りして株価引き下げを意図した”犯人”を追及することより、抜本的な経済の立て直しが必要なのではないでしょうか。

 上の写真は、先日、元政府高官や著名なジャーナリストと一緒に食事した代官山のレストラン近くのTSUTAYA書店。この書店は、喫茶コーナーや簡単な集会が開けるところもあり、街中のラグジュアリースペースと言った感じ。