つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

米中の報復合戦、勝敗の帰趨は?!

 米中の対立は段々エスカレートして、互いの政治家まで自国に入れないようにし始めました。というのは、米国は、香港安全維持法に関わった香港人や現地大陸人のみならず、ウイグル族隔離などに携わった共産党員とその家族も米国に入れないと宣言したのです。これに対し、中国も直ちに報復に出、米国のマルコ・ルビオ、テッド・クルーズなど共和党の中でもとりわけ反中国的な議員に制裁を科すと発表しました。でも、中国側は制裁の中身には触れていないんです。それは、制裁するネタがないせいかも。米中間の報復合戦は、最後にワンウェイの米側勝利になってしまう可能性大です。

 米財務省は、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官が香港への安全法適用に主に関わったとして米国資産を凍結、米国人との取引も禁止、米国への渡来も禁止しました。彼女はもともと英国の植民地政庁の役人で、コモン・ローを知り尽くしています。そればかりは、夫や息子たちはかなりの期間英国におり、中国より英国、いや西側の空気に染まっているのではないか。そんな中で、林鄭長官は中国共産党に身体のすべてを預け、英国にも米国にも行けなくなるのは辛いでしょう。

 香港政府の役人というのは、日本の役人のサラリーに比べられないような巨額な賃金をもらっています。それは歴史の反省から来ているもので、低賃金であれば役人は必ず賄賂(贈収賄)に走ると香港政庁は考え、高賃金にしたのです。もちろん、政庁、特別区政府高官である林鄭長官も家族でつかえ切れないほどのサラリーをもらっています。では、余剰金の多くをどこに預金するのか、まさか中国大陸の銀行ではないし、香港域内でもありますまい。主に英国あるいは米国、場合によってはシンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、日本辺りかも知れません。つまり西側の進んだ国々です。

 米情報機関が調べれば、たとい林鄭長官が他人名義で預金しても、預金のありかは直ぐに分かること。米側の凍結の動きを彼女が事前に察知して米英からの資産を引き揚げているなら”結構”ですが、そうでなかったら、今後はどこに隠していても結局凍結されてしまうでしょう。もしそのリスクを冒してまで大陸に忠誠を尽くすのであれば、よほどその損金分は北京側から担保されたに違いありません。ほかにも香港では、米英に預金している金持ち企業家はゴマンといます。彼らの金は林鄭長官の比ではないから、米国に親中国派と見られ、資産凍結の目に遭うのを恐れるでしょう。

 中国は米議員に報復すると言うけど、どんな報復が考えられるのか。マルコ・ルビオにしろ、テッド・クルーズにしろ、まさか中国嫌いの彼らが中国工商銀行や農業銀行、中国銀行に預金はしていないでしょう。制裁を受けても何の痛痒も感じない。今、中国側がやれることと言えば、せいぜい「以後中国には入国させません」ということぐらいでしょうか。米国に大量の資産を持つ中国人はあまたいるけど、中国国内に資産や利権を持つ米国議員などほとんどいない。その現実を見れば、報復合戦の帰趨は自ずから分かるはずです。

 米国は近い将来、すべての中国共産党員の米国入国も禁止する方向で検討を進めているとのこと。彼らは、特権を利用して得た資産を米金融機関に預けているほかに、子弟を米大学に通わせたり、個人的なビジネスをしたりしています。ですから、米中の関係悪化が長く続くことに、我慢ができるものでしょうか。権力闘争に神経をすり減らす党員にとって、米英など西側はある種のオアシスなのです。最後の逃げ場なのです。行けなくなれば困ります。ですから、米中間の関係悪化が続くと、いつか不満が爆発すると思います。

f:id:higurashi-takanori:20200808143620j:plain

f:id:higurashi-takanori:20200808143602j:plain

 小生の自宅からそう遠くないところにある横浜・京急日ノ出町駅近くの大岡川長者橋近くにあるサルスベリ