つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

所期の目的果たせなかった香港旅行

 小中学校の友人たちと3泊4日で香港を駆け足旅行してきました。5年近く住んで勝手知ったるところなので、小生にとって新鮮な感動はないのです。ただ、いつも同地でやることがあります。香港上海銀行HSBC)にある口座をいじること、中国国内政治に関する本を集めること、さらに内人から頼まれたタイガーバーム(軟膏薬)などを買うことです。このうち、最も重要な目的は口座いじりなのですが、今回それができませんでした。
 なぜなら、われわれが行った2月16−19日の4日間がちょうど春節旧正月)のパブリックホリデーに当たっていたからです。この旅行日程は、昨年秋にある人に任せて決められたもので、小生もその時点で、日程を聞いて春節に当たるなどとなったく考えていませんでした。通常は、旧暦で行う春節は毎年1月になることが多いものですから、まさか2月中旬になるなんてという感じです。
 でも、春節に当たることが分かったあとも、日本の印象からすれば、銀行がパブリックホリデーになってもせいぜい2日間くらいクローズするだけで、4日間もぶっ通しで休みになることはなかろうと考えていました。それがバッド・イナッフであることに、旅行している期間4日間に限ってぴったりとクローズだったのです。がっかりしました。
 HSBCにある口座はカレント(当座預金)口座で、香港に出版社などに予約金を払う時、小切手で送金できるので便利なのです。その預金額がすでに少額になっており、今回、10万円程度香港ドルに替えて預金しようと思っていました。しかし、それができず、今後は小切手が切れません。本当に困りました。近い将来、香港に行く人に金を託し、口座に入れてもらうしかありません。
 それはともかく、春節で大陸中国もパブリックホリデーであるので、大陸中国人がわんさかと香港に押しかけ、最大の観光地であるビクトリアピークに上がるケーブルカーもバスも長い行列ができていました。われわれは仕方なくタクシーで上がりましたが、これも頂上付近は大渋滞で相当な時間がかかりました。もちろん、ピーク展望台付近も張満員で、大声のマンダリン(共通中国語)が飛び交う、ほとんど大陸内の観光地のようでした。
 マンダリンと言えば、香港のいろいろな店の店員にマンダリンで話しかけると、相変わらず不機嫌な対応。今香港は、政治的な不自由さも含めて徐々に大陸の影響力が強まってきており、さらに大陸人は今、「自分たちは香港人より経済的に豊かであり、人民元は強い」との思いから横柄に出ているようで、それが香港人の反感を買っています。
 そのとばっちりは、肌の色がそう変わらないわれわれ日本人にも来ます。マンダリンを使うと不愉快そうな顔を向けるのです。仕方がないので、小生もなるべく知っている簡単な広東語を使ったり、英語を使ったりしましたが、マンダリンから英語に切り替えた時に、店員の態度がとたんに変化するのには本当に驚かされます。
 あるお店で30歳台の香港人女性と話していたら、大陸中央政府中国共産党に支配されていることに諦観を持ちながらも、「いやだ、嫌だ」という感じがありありでした。「できたら海外に出たい。独身の日本人男性を紹介してほしい」と言い、色気のある目を小生にも向け、反応をうかがってきたのです。「僕は老人だし、内人もいるよ」と言ったら、「では、友達を…」としつこく食い下がってきました。今、香港では再び海外移住ブームが起きていると言われていますが、事実のようです。
 正直、小生が香港に赴任した1994年当時、かなり西洋人が多く、英国植民地の匂いがしたのですが、今年は1997年の主権返還から21年目。セントラルの外人バー街蘭桂坊(ランカイフォン)に行っても西洋人を見かけることは少なくなりました。そういう意味では、香港は完全に中国の一部になったようです。


 上の写真は、久しぶりに見た香港ビクトリアピークからの夜景とケーブルカーのピーク駅で下山電車を待つ行列。