つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

世襲専制国で兄弟殺しは普通のこと

 今週14日から16日まで香港に行っていました。香港へは毎年最低1回は行くことにしているのですが、昨年は年末に日程調整つかず、とうとう今年の春休みになってしまいました。香港旅行の目的は、昔住んでいたので、どう変わっているのか見たいこと、それに香港上海銀行の口座をいじること。これをしないと休眠口座にされてしまうので。
 また、中国をウォッチするには、香港情報が欠かせない。友人に会ったり、書籍を買うことが目的で、いつものように大量の雑誌や書籍を買ってきました。さらに今回は、友人の見舞いもありました。ガンで入院していたのですが、小生が香港に着いた当日に退院したとのこと。小生はてっきり、医者に見放されての退院かと思ったのですが、小生に会うため郊外からチムサッチョイという繁華街まで出てきた姿を見る限り、結構元気そうでした。
 それはともかく、香港滞在中に北朝鮮のボス金正恩の実兄金正男氏が暗殺されるというビッグニュースが飛び込んできました。ホテルの部屋のテレビにはNHKの国際放送が入らないので、ずっとBBCかCNNを見ていましたが、英国など遠い国でも結構関心があるようで、長々と扱っていました。
 この事件を見て思ったのですが、世襲の独裁専制国では、権力をより安定させるため兄弟が殺し合うのはよくあることですね。日本の歴史を見ても、源頼朝足利尊氏織田信長伊達政宗徳川家光…とざっと小生が記憶しているだけで相当の有名人の名を出てきます。これらはすべて権力委譲を受けた長兄が不安の種である弟を殺したケースですが、今回は兄殺しでした。
 もともと儒教国では長兄相続が妥当とされていますが、金正恩氏の場合は兄弟の中で一番下の弟でありながら父親の地位を引き継いだのです。ですから、兄2人にも取り巻きがいて、何をしてくるか分かったものではないという不安があり、うっとうしい思いだったのでしょう。同じ母親から生まれたすぐ上の兄正哲氏はピョンヤンで軟禁状態に置かれているとのことです。
 世襲専制国では親殺し、子殺しもあります。権力を安定させるためには、むしろ権力委譲に関わらない肉親は邪魔者以外何者でもないのです。一切排除されなければならない対象です。まして親子に比べれば、兄弟などはもともと他人も同然なのですから、抹殺するに一抹の躊躇もないでしょう。
 それにしても、暗殺の手を海外にまで伸ばし、執拗に攻撃するというのも専制国の特徴ですね。一番有名なのはスターリンによるメキシコでの政敵トロッキー暗殺ですが、北朝鮮自身もこれまで海外で多くの政敵殺しを実行しています。そう考えると、われわれも軽々に「北朝鮮かりあげ君の異常行動」などと非難できそうにありません。いつ脅しの手が回るか分かりませんから。

 上の写真は、香港の繁華街モンコックで見かけた気功集団「法輪功」の街頭宣伝活動風景。