つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

北の海外国家犯罪も”スマート”になった

 クアラルンプール空港における金正男氏殺しはまだ全容解明にはほど遠いですが、おぼろげながら当地の警察の調べで徐々にその形が現れてきました。やはり北朝鮮のスパイ機関による組織的、国家的な犯罪のようです。恐らく主犯格の人間はすでに北に逃げ帰り、英雄扱いされていることでしょう。
 今日朝、ワイドショーを見ていたら、金正男氏は女性2人に布ようのものをかぶせられ、毒をかがせられても、しばらくは何ともなく、しっかり歩いて診療所に向かっているんですね。毒はどうも即効性でないようで、それだけに”実行犯”の女性2人も犯行時、それほどの衝撃を受けず、本当にこれはビックリショー(ドッキリカメラ?)か何かの演出の一コマを演じていると思ったのではないでしょうか。
 今回の手口を見て、北朝鮮の国家犯罪がいかに巧妙になってきたか、いやがうえにも思い知らされました。1970年代に日本の海岸に上陸し、日本人を拉致した時には、いきなりずた袋をかぶせるという荒っぽい手口でしたが、これに比べると隔世の感。今だったら、いきなり睡眠薬の注射を打ち、抱きかかけるようにして仲の良い恋人を装い、”スマートに”連行していくかも知れません。
 そういう嫌な冗談はさておき、今回の犯行を見る限り、海外における北朝鮮の国家犯罪は依然なくなっていないということです。これは、すぐ近くにある国で、しかも諜報網が完備していない日本でも再び行われるという警鐘でもありましょう。現に、今回の事件でも、実行犯女性に対し、「日本のテレビ局の関係者だ」として近づき、番組を装って犯行に至らしめています。
 1987年の大韓航空機爆破事件の際も、実行犯の北のスパイ金賢姫は「蜂谷真由美」という日本人を装いました。北朝鮮は海外での国家犯罪で「日本」や「日本人」を使うことが好きなようです。その点では、こちらも心して対応しないとなりません。ちなみに、小生にとってもこの事件は忘れられないものです。というのは、この事件取材のため、1カ月弱ソウルに滞在していましたので。
 ところで、北朝鮮の過激な行動を見ていつも思うことですが、一連の行動はすべてあの「北の刈り上げ君」一人でやっていることでしょうか。まだ40歳にもならない若造か世界を相手に一人で一連の強硬手段を計画しているものなのでしょうか。ちょっと信じられない気がします。
 では、だれか軍師がいるのか。小生、最初のころは義理の叔父(父親金正日総書記の実妹金敬姫の夫)に当たる張成沢氏がその役割を担っていると思っていましたが、金正恩はその叔父の”中国寄り”を嫌ってを2013年に処刑しています。では、北の世界戦略の絵を描いて、彼に指示している真の軍師はだれなのか。
 これはあくまで小生の推測ですが、最高人民会議常任委員長の金永南ではないでしょうか。外相などを経験し、世界を知っているこの老練な政治家が若い刈り上げ君を指南しているように思えてなりません。

 上の写真は、夜の新橋駅前風景。機関車がライトアップしているとは思いませんでした。